抗酸化技術に賭ける79歳シニアベンチャー

◆ グリーンの夏枯れ防止に効果

――「液肥」において特に決め手になった技術は。

二価の鉄イオンを安定化させる技術です。二価の鉄イオンは光合成を促進するなど植物を成長させやすくするのですが、酸化してすぐに三価の鉄イオンになってしまいます。三価鉄になってしまうと成長促進には全く役にたたなくなります。そこで二価の鉄イオンを酸化させずにそのまま安定化させる当社の抗酸化技術が役立ったのです。

昨年、実証実験で試してくれたゴルフ場のグリーンの夏枯れ対策として商品化した「タフターフ」が今順調に売れています。当社の抗酸化液は1,000倍希釈で使えるので、2tのタンクローリーいっぱいに入った水に2リットル分の液を混ぜて、月に2回散布すればよいだけです。

また、夢の種である「MyNIC-S」の技術から、「タフターフ」という商品ができましたが、他にもMyNIC-Sを粉末化した抗酸化剤を開発しました。鶏の飼料に混ぜると生まれた卵が非常に美味しいとの結果が得られ、ブランド化して販売されています。

今後は健康食品、化粧品等さまざまな出口を考えています。特にアンチエイジングに貢献して世の中の人に喜んで貰えたら、それが一番嬉しいですね。一緒に開発しませんかという依頼も増えており、そこで生じる技術課題を解決しながら、一つ一つ第三者による評価を行って商品化していきたいと考えています。

 
◆ 故郷への思いが原動力に

―― 開発から20年かけてようやく花が咲きつつあります。これまでを振り返って何を感じますか。

英語学者で評論家でもある故上智大学教授の渡部昇一さんの『出来ない理由を探すな。今は難しくすぐに実現できなくても「やるための理由」を絶やさない人には、不思議と天の一角から「助けのロープ」が降りてくるものである』という言葉があります。その言葉に励まされ、勇気づけられ、ここまでたどり着くことが出来ました。騙されたことも多々ありましたが、データは正直で騙すことはありません。

私の故郷は瀬戸内海に面する香川県三豊市にある名部戸という集落です。残念ながら限界集落になりつつある所です。事業が成功したら、「MyNIC」を使って育てた野菜をブランド化するなどし、一人でも多くの若者を呼び込んで故郷を活性化できたらと考えています。その気持ちが事業への強い原動力です。

今は週に2~3回オフィスに実験に来ていて、体力的にしんどい時もありますが、やっぱり実験は楽しい。やりたいことをやるのに年齢は関係ありません。

代表取締役社長 松下良博氏

(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)

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2019年07月30日
株式会社オリーブ技研
代表取締役社長  
松下 良博氏
事業内容/抗酸化液の開発・製造

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