抗酸化技術に賭ける79歳シニアベンチャー

◆ 営業マンとともに起業

―― そこで起業を決断されたのですね。

出来上がったものには自信があったので、なんとか商品化したいという思いがありました。そんな話を弟としていたら、弟が「非常に営業力に長けた知人がいるから」と紹介してくれました。

その方は最初私の話を聞いて「うさんくさい」と思ったようですが、自宅の菜園で小松菜を種から育てて、通常の水道水と私の開発した抗酸化液を混ぜた水をやり比べたところ、その成長ぶりに驚いてようやく信じてくれました。「これなら自信を持って営業できる」と。その方と弟と私、更に後継者として私の甥(43歳)を入れた4人で会社を興す決断をしました。

2016年11月。私は76歳、その方は78歳、弟は73歳でした。周囲には年齢を心配する声もありましたが、私自身まだまだ若いと思っているのでまったく気にしませんでした。私達の思いに賛同し、2つの金融機関がシニアベンチャー創業支援資金の融資をしてくれることになりました。

 
◆ 融資資金がゼロに

―― 事業は順調だったのですか。

はじめは土壌改良剤として商品化しようと考え、いろいろな畑で試してもらったのですが、既に土中に含まれているさまざまな成分と作用して、どうしても土が粘土状になってしまい、なかなか良い結果が得られず、土壌改良剤としての商品化は断念しました。

その後、私の故郷である香川県三豊市で、地元の採卵鶏業者の協力を得て、MyNIC-Sを鶏の飲水に添加剤として微量混ぜる実験をしていただきました。その結果、栄養バランスのとれた美味しい卵が出来ることがわかりました。また、葉面散布剤としての商品化も同時に考えました。

ゴルフ場がグリーンの芝の夏枯れで頭を痛めていることを知り、各方面にアプローチした結果、実証実験をやってもいいという先が現れました。そして実験の結果、枯れていた芝が青くなり、根長、根量とも対照品にくらべて常によい結果が得られました。ただ、結果が出たからといって、行ってすぐに採用してくれるかというとそうではありません。売上げゼロが2年間続き、融資資金もいよいよ尽きようとしていました。

 
◆ 「液肥」の登録が救世主に

―― 不安が強くなっていったのでは。

起業するときは「がんばってやってみたら」と背中を押してくれた家内も、さすがにだんだん不安になってきたようで、それは申し訳なく思いました。「必ず成功させるから」と声を掛けたものの根拠があるわけではではありません。

最初に貸してくれた二つの金融機関に追加融資を申し込んでも、赤字が膨らんでいる会社にはもう貸せないとの返事で、最悪、自己資金の続く限り頑張ってみようと決意しました。

その頃、申請していたMyNIC-Sの特許と農林水産省から液肥(葉面散布剤)としての登録の認可が同時に下りました。特に後者は、商品に「液肥」として表示できるようになるので、なかなか認可が難しいそうです。抗酸化作用を示す数値、その根拠など、これまで地道に積み上げてきたデータが役に立ちました。

これで一気に風向きが変わりました。それまで私達のことを遠巻きに見ていた人たちが、実際にお試しで使ってみようかという具体的な話になっていきました。いくら自分たちでこれはすごいと言ってみても信用してもらえない。ちゃんとしたエビデンスと第三者によるお墨付きがないといけないのだということを痛感しました。

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2019年07月30日
株式会社オリーブ技研
代表取締役社長  
松下 良博氏
事業内容/抗酸化液の開発・製造

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