講師のアドバイスを受け 事業の視野が広がる
現地をつぶさに見てみたいが、遠い、タイミングが合わないなどの理由で行けない。そんな時、代わりの人に出向いてもらい、スマホで映し出してもらった映像に遠隔で指示を送れる現地体験共有サ-ビス「GENCHI(ゲンチ)」が反響を呼んでいる。
toraruは両者をつなぐプラットフォームを提供し、依頼者が提示した場所、日時に行ける代理人が現れればマッチングが成立。「車の空いた時間をシェアするUberの人版と考えるとわかりやすい」と西口氏は説明する。
取引先の介護施設の高齢者や車いすで移動の自由が利かない友人など、旅行に行きたくても行けない人にその気分を味わってもらいたい。そう思い付いたサービスを、IoT・ロボットビジネスに特化した起業家育成プログラム「AIDOR ACCELERATION(アイドル アクセラレーション)」を受講して磨き上げた。
当初は動画撮影役をロボットに担わせる事業モデルを考えていたが、ロボット専門の講師から「コストの高いロボットを使うのは非現実的」と一蹴された。「ロボットありきでビジネスを考えていた発想の枠が取り払われた」という。「事業案からプレゼンまで何度もダメ出しされたが、事業で成功されている講師陣の貴重なアドバイスが事業に役立っている」という。
ロボットを人に置き換えることで事業の幅が広がった。インバウンド客向けに訪問地を下見してもらったり、売場の商品を店員が映し出して上得意客が在宅で購入を指示できるサービスも提案中だ。
また、かつて訪ねた観光地を懐かしむことが認知症予防につながると介護施設から活用に関心が寄せられている。さらに依頼者の顔をタブレットに映し出し、代理人の顔にはめて動いてもらう「BETSUJIN(ベツジン)」のハードウェアも派生して生まれた。アバターのように「自分がその場にリアルにいる気分を味わえる」「相手に依頼者がそこにいるように感じてもらうことができる」ことで西口氏も考え付かないような応用が期待できるという。
「AIDOR」を受講したことで「人による代理業」という視野が生まれ、「GENCHI」を使った提案ではともに学んだ受講生と協業するケースもあるという。「講師、受講生を含めた濃密なネットワーク」を生かし事業にさらに磨きをかけようとしている。
(取材・文/山口裕史)
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【費用】無料 【URL】https://www.imedio.or.jp/acceleration/
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