感性に響く「貼箱」で、ブランド価値を伝える
厚さ約1.5mmのボール紙で組み立てられた箱に、紙・布・特殊クロスなどを貼っていく「貼箱」の作業工程はすべて手作業。
接着剤として使われる天然素材の膠(にかわ)は、箱の形状や素材、厚みなどに合わせてブレンドする。膠は速乾性があり、10〜20秒間で貼る必要があるため、季節ごとの室温や使用量の調整は職人技だ。接着しにくい時は布越しにアイロンをあてて接着をゆるめ、箱の角を立てる作業など、上質な貼箱をつくるための手間ひまは惜しまない。
創業から40年のノウハウを蓄積する村上紙器では、パッケージの企画・デザインから製造まで、一貫した提案を行う。大きさや形状はもちろん、素材や色を選んでオリジナリティを発揮できるのが貼箱の醍醐味。
貼箱の用途は幅広く、さまざまな業界から案件が飛び込んでくるが、手加工にこだわり、素材の風合いを活かした特殊技術があるため、高い要求にも応えることが可能だ。
「パッケージは単なる入れ物ではなく、つくり手の想いを包むものなんです」と話す村上氏。貼箱は商品を引き立てるだけでなく、その商品を製造・販売する企業のブランド力を高めることができると考える。めざすは、「美しい普通」。派手さはなくとも、10年、20年経って朽ちない美しさを追求している。
今後も、クリエイターとの協働や、表面の要素であるColor(色)、Material(素材)、Finish(仕上げ)を意識した「CMF®デザイン」を取り入れるなど、学びの姿勢をもち続ける村上氏。商品企画の段階から参加してブランディングに関わり、感性に響く貼箱を生み出すことをめざしている。
少数精鋭で「貼箱(モノ)を通して価値(コト)を売ること」に、これからもこだわっていく。
(取材・文/花谷知子)
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