化学薬品で金属を溶解 超精密加工を短納期で
「浜田です」と言って渡された名刺はステンレス製で、一部が半導体の部品のような精密なパターンでくり抜かれている。「それは当社のエッチング加工技術で成形しています。私たちがどんな会社か一目瞭然でしょう」。
浜田氏が説明する「エッチング加工」とは、腐食作用のある化学薬品で金属を溶解成形する技術をさす。具体的な工程は次の通り。まず金属板にレジスト(感光膜)を付着させ、CADで作成したパターンを露光・転写する。次いで未露光部のレジストを除去し、エッチング液によって金属の露出部を溶解除去することで、図面の寸法・形状通りの加工を施す。
「エッチング加工の特長は加工物にプレッシャーがかからないこと。だから加工時の変形・変質を抑制できる」と解説するように、プレス打ち抜きでは不可能な超精密加工が可能だ。平井精密工業は5ミクロン(アルミ箔と同等)の板厚から対応でき、300ミクロンレベル(板厚0.3mm以下の場合)の微細加工を得意とする。金型が不要のため、1個の試作品から量産の加工まで柔軟に対応できる点も魅力だ。
「さらに当社の最大の強みは業界随一の短納期」と力を込めるように、国内トップレベルの品質を担保しながら、クライアントの納期の要求に応える万全の生産体制を誇る。
1967年の創業以来、エッチング加工を主力に展開してきた同社。半導体や電子・電気、自動車、医療、通信など国内のあらゆる分野のものづくりを支えてきた。今後はエッチング加工を主軸としながら自動車産業のフィルター関連部品・機械加工・表面処理・接合加工の強化を図るほか、自社製品の開発も視野に入れている。
(取材・文/高橋武男)
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