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自分らしい人生観をどう形にできるか

2013.06.10

 ミクシィ、GREEの創業者ら1976年前後に生まれ、大学に入った頃にインターネットの普及を経験している起業家たちを指してナナロク世代と呼ぶ。「アナログとデジタルの世界を両方知っているからこそどちらにも偏らない発想ができる」と分析する宮村氏も76年生まれだ。

 現在手掛けている大手アパレルブランドのプロモーションでは、人気米国人音楽ユニットとコラボしたシャツをWebと店舗で限定販売。ロックフェスティバルに出演する2人にシャツを着てもらうことで話題性をさらに仕掛ける。「Webが大衆化し、むしろリアルな場でのプロモーションが価値を持つ時代。Webとリアルを融合することでより多くの人をひきつけたい」と狙いを語る。

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 大学時代はクラブで映像を演出するビデオジョッキーのアルバイトをしていた。店舗向けに制作したCGが当たり27歳の時に独立。Web、グラフィック、空間デザイン、映像、イベントプロデュースなどプロモーションに必要な機能をトータルで提案できる強みを生かし、顧客の信頼を獲得してきた。

 バブルを経験した世代と話をする時は、金離れがよく、女にモテた武勇伝に素直にかっこよさを感じる。だが「同じように生きたいとは思わない」。同世代の仲間と話していて話題に上るのは「お金に代わる価値として自分らしい生き方、人生観をどう形にできるか」だ。

 かつて音楽仲間たちと「いつか南の島で乾杯したい」と夢を語った。2年前からインドネシア・バリ島にある別荘の空きシーズンを利用して日本人が宿泊できるサービスの事業化を進め、夢が現実に近づいている。一方で本業についてもシンガポール、インドネシア、香港でのさらなる事業拡大をにらむ。「正直、10年後の日本で今と同じようなビジネスができるかはわからない。今伸びている東南アジアで、日本のクリエイティブの可能性を試してみたい」。

 6月9日、本社からほど近い場所にクリエイターのためのコミュニケーションスペース「ライフラボ」を開設した。雑居ビルを改装した1階部分はカフェ、2階部分はギャラリーで、クリエイターたちが自由に表現し、気楽に話ができる場だ。「人が集まり、お酒が入れば、そこから風が吹く。自分たちの生き方をここから実現し、新たな事業が生み出せる空間にしたい」。
 宮村氏は今日も走り続ける。「後に続く人たちからこの人のような生き方がしたいと思ってもらえるように」。

株式会社グロウ・リパブリック

代表取締役

宮村 岳志氏

http://www.gro-repu.com/

設立/2005年

従業員数/13名

事業内容/ウェブ、グラフィック、空間デザイン、映像を組み合わせ、プロモーションの企画・立案から制作までを行い、イベントプロデュースも手掛ける。