日本発、世界を驚かすスイーツを
チーズタルト専門店「PABLO(パブロ)」が現在の嵜本氏のビジネスの主戦場だが、戦いの舞台はこの10年でめまぐるしく変わってきた。高校卒業後、父が営む什器リサイクル業の会社に就職。開業する店、廃業する店。顧客の盛衰を目の当たりにできたことが経営の格好の学びになった。
量販店の台頭で電化製品や家具が値崩れを起こし、在庫が経営を圧迫し始めたと見るや「小さくて利益率の高い商品を扱えばいい」と高級ブランド品に特化したブランドリサイクルショップの展開を決断。2004年に次弟、末弟と3人で会社を設立した。
順調に店舗を増やす中で、ケーキやコーヒーが出せるカフェ付きの買取サロンの出店を考えた。カフェだけでは収益性が低いことを知ると、お取り寄せブームを味方につけテイクアウトできるスイーツの商品展開を視野に2008年洋菓子店「パティスリーブラザーズ」を立ち上げる。スイーツビジネスの経験はなかったが、協力工場を見つけて生産体制を整えた。
商品開発でコンセプトに掲げたのが「おどろ菓子(かし)」。「おいしいのは当たり前。興味を持ってもらうには見た目で、そして食感で驚かせないと」と今までにないユニークな商品を次々に発表した。約2年で13店に増やし事業は順風満帆。
…に見えたが、新たな経営課題に直面していた。「需要に生産が追いつかず、外注に頼るあまり利益率が落ちていた。多忙な業務で従業員にも負担がかかり無理をさせていた」。そこで「商品の種類を絞り、在庫を抱えない」戦略、すなわち「専門店化」へと方針転換に踏み切る。そして2011年に出店したのが「PABLO」だ。
利益を取るために高い価格設定も考えたが、行列を作る店にするために当時税込680円(現在は税込800円)の価格設定とした。そのため通常は30分以上かかる焼き時間を10分に短縮。「スイーツビジネスの素人だからこそ柔軟な発想ができること。それがうちの強み」と嵜本氏。洋菓子業界では今までにないエンターテイメント性を持った店舗づくりも注目を集める要因だ。
心斎橋店では購入する4人に1人は外国人観光客だという。その勢いを駆って、年内に出店が決定しているフィリピン、韓国をはじめとする海外展開をスタート。日本発のスイーツとして今度は世界を驚かす。
「常に新しい驚きを仕掛け、チーズタルト専門店で海外進出」
ロングインタビュー公開中⇒https://bplatz.sansokan.jp/archives/2779
【講演告知】
嵜本氏がサンソウカンに登場!
8月23日(土)13:00~14:30
Desig n Thinking「小さなサプライズの連鎖が世界を幸せにする」
→ 講演の詳細はこちら
株式会社ドロキア・オラシイタ
代表取締役
嵜本 将光氏
焼きたてチーズタルト専門店「PABLO」を全国に8店、洋菓子店「パティスリー・ブラザーズ」を東京に1店、カフェ業態の「BROTHERS Cafe」を大阪に2店展開している。