働きたい会社を探すのではなく、働き続けたいと思える会社を一緒につくりたい
求人広告や採用ツールの企画・制作を行うグッドニュースを創業したのは2006年、27歳のとき。
会社を立ち上げてからの数年間は人を育てる余裕はなく中途で採用していたが、「入っては辞めての繰り返しで定着しませんでした」と杉岡氏は振り返る。
なぜ人が続かないのか――思い当たる節はあった。「即戦力を期待して雇ったのに、こんなこともできひんのかと社員を責め、トップである自分の非を顧みる余裕はありませんでしたから」。
そんなとき〝開眼〟させる出会いがあった。創業して4年、新卒人材の採用に初めてチャレンジしたときのこと。面接時に学生から「自分が働きたい会社を探すのではなく、働き続けたいと思える会社を一緒に創りたい」と言われ、その純粋さに心を打たれた。
それまでの自分は儲けのために社員を利用しようとしていた。しかし彼の言葉で、いまの自分があるのはまわりのおかげだと気付いた。
その後、会社を良くするためのアイデアを出し合う「機会開発会議」、社員の家族をねぎらう「家族感謝祭」、現場の声を拾い上げる「飲み会(通称サルベージミーティング)」などを立ち上げるほか、給料や決算もガラス張りに。
組織の「見える化、言える化、聞ける化」を進め、一体感を醸成していった。結果、社員の定着率は高まり、売上げも3倍にアップした。
面接時の学生――山根氏はその後入社し、いま取締役として活躍している。「社長と一緒に会社をつくり、後輩が入りたくなるような会社にしたい」(山根氏)と思いは健在だ。
最近入社した新卒社員から「入って良かった」と言われた。杉岡氏、山根氏が描く「社員が働き続けたいと思える会社」に近づきつつある。
(文・写真/高橋武男)