「オーガニック昆布」を世界へ!
大阪駅前第4ビルに本店を構え、コンブを中心とした土産用食品を製造・販売する株式会社なにわ屋(大阪市北区)。3代目の藤橋健太郎社長は、初代の祖父が昆布老舗の「をぐら屋」からののれん分けで開業した。
コンブ販売で事業の基盤を築いた後、2代目の父が始めた土産菓子事業の営業担当として、25歳で家業に入った。
それまでプロの作曲家として活動しており、全くの門外漢だったが、新規開発した焼きドーナツをヒットさせ、実績をつくった後、社長に就任した。
しかし、3代にわたり会社を支えてくれたコンブの消費量は、ピーク時の半分にまで落ち込んでいた。
この状況を打破すべく、いろいろ調べるうちに、「日本の天然コンブは奇跡の存在だ」と気付いた。暖流と寒流が交差する北海道の近海に山のミネラルが流れ込むことで、栄養価の高くなった天然昆布が生息しており、こうしたケースは世界的にも珍しいという。
そこで藤橋社長は、この奇跡の食材のコンブを世に知らしめようとPR活動を始めた。
「だしソムリエ協会」に所属し、自ら講師となってコンブだしの取り方を基本から解説する「だし教室」を開催した。
プロの料理人を対象に、等級による味の違いを学ぶことで、自分好みの昆布を選べるようになってもらう「利きだし教室」も展開している。
その活動は報道でも紹介されており、関西だし文化のPRに貢献している。
さらに、天然コンブのブランド化を進めるため、北海道の漁港などとも連携し、海産物では日本初の「オーガニック昆布」の認定にも挑戦した。
「オーガニック」という言葉に、日本だけでなく世界に通用する世界基準の商品として売り出したい、という藤橋社長の想いが込められている。
添加物や化学調味料を使わない、天然100%の安心・安全でおいしいだし文化を広く紹介したい―。そんな願いが、最近の日本食ブームにも乗り、世界へと展開していくことになるかもしれない。
(大阪産業創造館 プランナー 浜田哲史)
▲「奇跡の食材」とされる北海道の天然コンブ