産経関西/産創館広場

雑貨のノウハウ生かし介護市場に挑む

2013.04.01

 高齢化が加速度的に進む日本で、これまで豊かな消費を経験してきた女性たちは、年齢を重ねていったとき、どんなものを欲しがるようになるのだろう。

 1990年創業、「香り」にこだわったアロマ雑貨の製造販売からスタートし、その後10年以上にわたって若い女性が好む“カワイイ”生活雑貨、健康リラックス雑貨の企画・製造・販売を手がけてきた、株式会社サンハーティネス香産(大阪市東成区)代表取締役の三浦和男さんはこう話す。

 「介護用品をはじめ、高齢者向け商品の多くは機能性ばかりが重視され、使う人が心の底からワクワクするような、華やかでデザイン性の高いものが少ない。女性はいくつになってもおしゃれをして外出したり、セカンドライフを明るく楽しく過ごしたいと考えているのでは」

 その感覚をもとに、新規事業として昨年2月に「エンジョイライフ事業部」を立ち上げ、ファッション性の高いシニア女性向け商品の企画・製造に着手した。基本的な方向性が決まれば、後は若い社員やスタッフに自由に任せる。流行に左右されやすく、競争の激しい雑貨業界で、その時々の若い“イマドキの女性”が欲しいものを常にリサーチし、商品化してきた。このノウハウを生かしつつ、感度の高いシニア女性が商品と出会う新たな売り場を求め、ゼロから販路開拓に挑む日々が始まった。

 百貨店や介護用品専門店など、一社一社に対して丁寧に作り手側の思いを伝えていく地道な努力を続けた。これが実を結び、昨年11月にリニューアルオープンした阪急百貨店梅田本店の介護用品売り場には、同社の「きらら」ブランドの華やかな色彩とデザインの車椅子専用バッグ、折り畳み式の杖などが並び、売り場に花を添えた。従来の介護用品売り場のイメージを一新したい百貨店側のニーズと、これまでになかった新しい商品を提案していきたい同社の思いとが一致した形だ。現在では、商品ラインアップも増え、新たな取引先も次々と決まっている。

 「今、日本のシニア・高齢者マーケットで最も遅れているのは“衣・食・住”の衣。自分のライフスタイルや好み、価値観をしっかりと持ったこれからの女性たちに選ばれる商品や楽しくなる売り場をどんどん創っていきたい」と意気込みを語る三浦社長。数年先を見据えた新たなマーケット創出に向け、同社の挑戦は続く。(大阪産業創造館 プランナー 田中洋子)

香産

▲「シニア女性の『こんなモノが欲しかった』を形にしていきたい」と話す三浦和男社長(右から2人目)

 

株式会社サンハーティネス香産

http://shf.co.jp/