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【あぁ、麗しのファミリービジネス】Vol.1 「家族だから踏ん張れる!家族だからややこしい!」

「家族だから踏ん張れる!家族だからややこしい!」

100年以上続くファミリービジネス(同族経営)の企業数は、米国では800社、欧州全体で6,000社と言われています。
突然ですが、ここで問題です。日本には何社あるでしょう?

答えはなんと!「30,000社」です。理由は日本は島国で比較的戦争が少なかったからなど諸説あります。どこかの御曹司がカジノで何億かすったという話も記憶に新しいし、「同族経営」という言葉に利己的で排他的な印象を持つ方も多いかもしれません。でも資源もない小さな島国が、これまで経済大国として世界と勝負して来られたのは、日本の中小企業が家族で技術やノウハウを引き継いできたからじゃないでしょうか。「会社をいい状態にして息子に引き継ぎたい」。「じいさんがつくった会社を俺の代で潰したくない」。多くの社長さんたちの言葉に、家族への愛が結果的に企業を存続させる原動力になっていることがわかります。

でも最近の調査で、日本国内の66%、大阪府下ではなんと74%の中小企業が後継者不在という結果が出ました。長引く不景気と厳しい経営環境が続く中、「子どもに同じ苦労をさせたくない」と思う経営者が増えているのかもしれません。とはいえ、中小企業の場合、社長が借入れの個人保証をしていることも多く、社員に引き継ぐというのも難しい。最近では、M&Aなども事業承継の手法の一つとして注目されていますが、私は、もし可能なのであれば小規模の会社こそファミリーで事業を承継していくのが一番だと思うんです。

ちなみにお隣韓国では、事業を家族に引き継ぐという概念がないらしく、他社や社員に売却するのが一般的。でも、実は100年以上続く企業が2社しかないそうです。M&Aなどで一時的に事業や雇用が引き継がれても、技術やノウハウを守り育てていこうという人間のマインドが維持できない。結果的に技術力も継承されないことが国家的な課題になっており、最近では韓国政府も中小企業に「長寿企業が多い日本の企業経営に学ぶべし」と働きかけているそうです。確かに、私が日々お会いする多くの日本の製造業の社長さんは、創業者のものづくりの精神や技術を引き継いでいることへの責任と、さらにそれを研鑽していこうという意志を強くお持ちです。そういう意味では先代から受け継いだバトン(価値)を誰よりも守れるのは家族なのかもしれません。

とはいえ家族だからこそ、何かと面倒くさい(!)局面が多いのも事実。かくいう私の実家も父が三代目、弟が四代目を今年承継することになったファミリービジネス。家庭でも、祖父と父、親族と父、父と弟、はたまた弟同士の、仕事上の微妙な人間関係を垣間見る場面も多く、「家族」と「企業」を両立させる難しさを痛感しながら育ちました。
でも「家族だから踏ん張れる!家族だからややこしい!」ファミリービジネスは日本が世界に誇れる企業文化。これからも注目していきます。

〈出典〉
・Pricewater houseCoopers Co., Ltd.ニュースリリース
・帝国データバンク「後継者不在企業の実態調査」
・韓国銀行「日本企業の長寿要因および示唆点」

yamano

2012年10月10日
大阪産業創造館
Bplatz press編集長/チーフプロデューサー  
山野千枝
本紙「Bplatz press」編集長。数多くの中小企業を取材する中で、家業を受け継ぎ事業を展開する経営者の生き様に美学を感じる一方で、昨今の後継者不在問題を憂いて「ファミリービジネスの事業承継」をテーマに、現役の後継社長とともに、関西学院大学、甲南大学で教鞭をとる。実家も四代続くファミリービジネス。
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