元金融マンの【マッチングの流儀】Vol.4 「出稽古その一 製造業のマッチング編」
金融機関に求められるのが「金貸し」だけではなくなった昨今。「じゃあ、取引先は何を求めているのか?」と頭を悩ます金融マンも多いとか。
元金融マンで、現在、大阪市の中小企業支援拠点「大阪産業創造館」で、中小企業の商売繁盛のために大奮闘中のワタクシ竹内心作が、金融機関の皆さんに「ビジネスマッチング」の極意を紹介していきます。
10回にわたってお送りするマッチングの流儀。今回は製造業のマッチングについてです。
「コンサルティングとマッチングの違いって何なんでしょうねぇ」と先日ある金融機関の方に尋ねられた。その時はうまく答えられず、「桜も五部咲きですねぇ」とごまかしたが、よくよく考えてみた。
コンサルティングは中長期的かつ抜本的な企業の課題解決、マッチングは時宜的かつ即効的な課題解決、と言ったところか。世の中にコンサルティング業は多いけれど、マッチングを生業にしている人は少ない。その理由を、企業の商流を丁寧に把握することが難しい、広範な企業ネットワークを保有するのが難しいからだと竹内総研は分析している。ともあれ、マッチングさせる人がいないのならば、金融機関がやればいい。
さて、今回から3回にわたり、製造業、卸売業、小売業のマッチングを紹介していく。業種に応じたケーススタディだ。いや、読者諸賢には是非実践して欲しいので、あえて言おうこれは出稽古だ。
金融機関で 製造業を取引先に持った経験のある人は多いだろう。引継ぎを終わらせた後、その会社をどう理解しただろうか。
社長の話を聞く、生産現場、製品を見せてもらう・・・どれもイイネ!製造業の醍醐味は価値を形作ることにあるのだから、見ないと損だ。行かないと損だ。
製造業のマッチングは、川上のアプローチと川下へのアプローチがある。まず忘れがちな川上のマッチングを紹介しよう。
モノを生み出す製造業と言えど、必ず材料、素材を仕入れている。鋼板、ポリカーボネート、電子基盤…様々あるだろう。製造業のニーズは安価で安定的に調達すること。実際 融通のきく仕入先がないために、高値で材料を買っていたり、不要な在庫を抱えたりというケースは多い。「仕入先をマッチングする」これがポイントの一つ目だ。
次に、川下へのアプローチ。これはイメージし易い。販売先とのマッチングだ。本業がしっかりしていても新しい販路を開拓したいという社長は多い。大手との取引があっても、経営者として常にリスクに目を光らせる必要があるので、当然次の柱を求めている。
「作ってみたけど、売り先がない」という会社はなおさらだ。早く販路を見つけないと、在庫の山に囲まれて「俺は必要とされていない」とスネてしまう。「販売先をマッチングする」ポイントの二つ目だ。
こうして見てくると、「うちは材料が相場物ではないし、安定して生産できとる!」という先には販売先を、「売り手市場で、販売先には苦労しとらん!」という先には仕入先を紹介すれば良いのだから、外訪時に返り討ちにあう可能性もグンと減るだろう。
他にも製造業のマッチングケースとして、OEM先の紹介、技術転用先の紹介、協力工場の紹介などが考えられるので、幅広く対応できるスキルを持ちたい。
さあ、出稽古だ!
「書(通達)を捨てよ、町(工場)へ出よう!!」
(大阪産業創造館 竹内心作)
【元金融マン竹内が手掛ける!】
大阪産業創造館と金融機関が協働して中小企業の販路開拓や売上拡大を応援
中小企業応援団
大阪産業創造館
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竹内心作
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岡山県出身、元銀行マン。大阪産業創造館と在阪の金融機関が協働して中小企業の販路開拓や売上拡大を応援する中小企業応援団を取り仕切る。愛読書は「鬼平犯科帳」、座右の銘は「守破離」の若年寄キャラ。