【あぁ、麗しのファミリービジネス】Vol.10 ファミリービジネスが見直される時代到来か!?
いやいや、来ましたよ。流れが来てますよ。間違いない。
これまで「世襲という言葉が持つ排他的なイメージ、会社を食いつぶすボンボン社長」などなど、ネガティブに語られることが多かった「同族経営」。
ここへきて、ファミリービジネスの価値が見直される時代がようやくやってきました。バンザーイ!
AERA最新号(2014/6/2)の特集は「世襲こそ革新を生む~ファミリービジネスから世界へ」。
この特集を知った瞬間、小躍りしました。万歳三唱であります。
AERAさん、ありがとうー!江戸方面に向かって柏手打ちました。
AERAさんが、まさか「ファミリービジネス」で特集を組んでくれるなんてびっくり!
さらに、甲南大学でやらせてもらっている後継者講義のことも特集内に取り上げられてて二度びっくり!
実家が家業を営む学生(つまり家業を継ぐかどうか悶々としている学生)を対象に大学で授業を始めて4年。
99%が中小企業、そして95%が同族経営の日本で、7割もの会社が後継者不在という現実。
この事実はもっと注目されるべきだと、世の中への問題提起としてマスコミへの情報発信も取り組んできました。
流れが変わってきたなと思ったのは昨年くらいから。
これまで起業家礼賛一辺倒だったメディア各社が、第二創業や海外展開など新たな挑戦をする後継経営者を取材してくれるようになってきている・・・ような気がする。
日本では、とかく起業家が少ないとか創業率が低いとか、ネガティブに語られるじゃないですか。
いや、確かに起業も大事ですよ。国が「起業、創業」と連呼するのもわかります。
でも!!!日本人は、ゼロから立ち上げるより、1を2にしたり、10にしたり、100にするほうが断然得意だと思うんです。
起業率を上げるのはもちろん大事だけど、世代交代を機に新たな領域を開拓する中小企業のポテンシャルを見直すことだって大事なんじゃないの?
今ある経営資源を「利用して」、新たな挑戦に踏み出す中小企業のほうが、実はイノベーションを生み出せてるんじゃないの?
・・・と言い続けとるわけです。
100年以上続く企業が世界一多い日本。
長寿企業や老舗は保守的だとか古臭いとか思われがちですが、本紙で多くの中小企業を取材させてもらって、私が出した結論は・・・
「長寿企業こそ挑戦している」
歴史のある企業のほうが、時代の変化に柔軟だし、新しいチャレンジに積極的。
歴史のある企業のほうが、「チャレンジなくして企業の存続なし」ということがちゃんと語り継がれているのです。
とはいえ、企業存続を危ぶませるほどの無茶な挑戦をしないのも長寿企業の文化。
現状の経営資源を徹底的に検証しながら、自社の強みをベースに手堅い作戦で特典を重ねる。
資源のない小さな島国NIPPONが経済大国としてやってこれた理由がここにあるような気がしてなりません。
企業存続への経営者の執念⇒変わりゆく時代の中で生き残るための挑戦。
存続するために挑戦する。
挑戦するから存続する。
事業が成長したら、会社をモノのように売却する欧米と違って、「企業存続こそ経営者の使命」と考える経営者が多いことこそ日本の企業文化。
「じいさんが苦労してつくった会社を俺の代で潰すわけにいかん」「会社をいい状態にして息子に引き継ぎたい」
ファミリーだからこそ生まれる覚悟や決断をベースに、バトンを繋いだ後継経営者がどれだけ多くの製品や技術革新が生み出してきたことか。
シリコンバレーのベンチャー起業家に負けてへんで。
100年続くということは100年社会から必要とされる会社であり続けたということ。
長寿企業は、時代時代の後継者が挑戦のバトンを繋いだことの証です。
「起業家のごとく」挑戦する、気骨溢れる後継社長の誕生を産業界もメディアも彼らをもっともっと応援していくべし!
海外のForbesやFortuneとかのビジネス雑誌で「日本のベンチャーは長寿企業」特集が組まれる日も近いぞ!
NIPPONのファミリービジネス、バンザーイ!
<大学×大阪産業創造館「後継者ゼミ」に関する報道発表>
★どうする親の会社!大学名物涙と笑いのガチンコ後継者ゼミ、今年も開講
★社長輩出大阪2位、関西大学で「後継ぎ講座」初開講
★大学名物「ガチンコ後継者ゼミ」今年も始まる
大阪産業創造館
山野 千枝
本紙「Bplatz press」編集長。数多くの中小企業を取材する中で、家業を受け継ぎ事業を展開する経営者の生き様に美学を感じる一方、昨今の後継者不在問題を憂いて「ファミリービジネスの事業承継」をテーマに、現役の後継社長とともに関西学院大学、関西大学、甲南大学で教鞭をとる。実家も四代続くファミリービジネス。