ルーアンライトが描く、料理の力で子どもたちを未来へ導く物語
茨木市の住宅街にしつらえたキッチンスペースで子ども向けの料理教室「ゆめつぼ」を開いている株式会社ルーアンライト。対象は幼稚園年中から中学生までで、初級・上級・スイーツの3コースを設けている。冒頭にその日に作るメニューの作り方を動画で見たあと、紙に書いたレシピをもとに二人ひと組になって協力し合いながら作る。「極力子どもの自主性に任せ、私が口を出すことはほとんどありません。チームワークも学んでほしい」と大坪氏。子どもを対象にした料理教室を開く目的は二つ。まずは、「食育」、そしてもう一つが「自己肯定感の向上」だ。
管理栄養士の資格を持つ大坪氏は2017年に起業するまでの5年間、少年院で食事の習慣を変えるための栄養指導を担当していた。知識を伝えるだけの指導に限界を感じていたが、調理実習を行ったところ目を輝かせて手を動かしているのを実感した。「自分のことが嫌いになってしまっている子どもたちが多いのですが、自分でも料理が作れるという自信につながっていることも感じられました」。子どもの頃から自分で栄養バランスの良い料理をつくる習慣をつけてもらうことが食習慣改善の早道になり、自己肯定感の向上にもつながると確信し、子ども向け料理教室で起業しようと思いついた。
当初は紙のレシピだけを使っていたが、「テキストだと理解してもらいづらく、だからと言って丁寧に説明しようとすると集中力が続かない」と動画の作成を始めた。子どもが理解しやすいよう、音声だけでなく、ひらがなのテロップを入れ、展開のスピードもゆっくりめを心掛けた。「大人向け動画だと省略しがちな野菜を洗う作業や、皮むき、ヘタ切りなども映すようにしています」。
コロナ禍では2カ月間教室を休止せざるを得ず、廃業も頭をよぎったが、再開すると入室する子どもの数が増えたという。「家にこもっている間に料理をする機会が増え、関心が高まったようです」。料理教室がもたらす効果をより多くの子どもたちに体験してもらおうとフランチャイズを5カ所に増やし、オンライン教材の提供も始めた。現在は直営校の開設準備も進めており、関西で10店舗、東京での出店も目標に掲げるほか、子ども園との連携、企業の福利厚生としての提案も同時並行で進めているという。「趣旨に賛同して、自分も教えてみたいという方もたくさんいらっしゃいます」。
目標は「冷蔵庫にあるもので、一人で料理をする子どもを育てること」と大坪氏。多くの応援団を味方に「料理」のもたらす力を全国に発信していこうとしている。
(取材・文/山口裕史)
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