スタッフ連載

「漫画で世界平和」、社長の夢を実直に支える相棒

2021.03.22

大阪産業創造館プランナー 中尾 碧がお届けする

社長だって一人の人間、しんどい時もあります。そんな時にモチベーションの支えとなり、「一緒に頑張っていこな!」と声をかけたい“人”または“モノ”がきっとあるはずです。当コラムでは社長のそんな“相棒”にクローズアップ。普段はなかなか言葉にできない相棒に対するエピソードや想いをお伺いしました。
 

【 vol.15 】株式会社アンシャントマン ~「漫画で世界平和」、社長の夢を実直に支える相棒~

 
「漫画に元気をもらった」という経験をお持ちの方は多いだろう。
漫画を使ったPR物の制作を手掛ける、株式会社アンシャントマンの松山氏も漫画に励まされた一人だ。

子どもの頃いじめられっ子だった松山氏にとって大好きな漫画の主人公は、カッコよくて「自分もこうなりたい」と気持ちを奮い立たせる存在だった。

 
大学を卒業後、漫画とも関係が深いエンターテインメントに関わりたいと思いテレビゲーム販売店に就職した。同業界で4年程従事し、過去最高順位を上げて担当店舗の立て直しに成功し、大学院の社会人入試をめざして退社した。

フリーターをしながら朝から晩まで勉強する生活。つらいこともあったが、今に繋がる集中力がついた。そして見事入学し、興味があったフランスにおける日本のマンガ受容について研究することとなった。 

フランス・ニース大学に留学した時、ヨーロッパの漫画イベントを訪れた。それは昔から大好きだった漫画と憧れていたフランス、2つの「好き」が結びついた瞬間だった。

 
その後、起業家輩出イベントであるドリームゲートの近畿代表に選出され、卒業後アンシャントマンを起業。しかし起業当初は今のビジネスモデルと異なり、HPの下請けが多く、当初はアルバイトもしながら経営していた。

忙しく、つらさを感じていたある日、「アルバイトをやめないと起業した意味が無い」と思いたち、そこから自身がやりたいと思っていた漫画キャラの作成を中心に舵を切った。

百貨店のイカ焼き店のキャラクターコンペで成功したことで、自信と実績が付いた。その後も漫画キャラづくり、漫画を使ったPR物制作やブランディングで実績を積み重ねてきた。

 
その中、フィンランドの国際交流会で相棒となる三沢氏に出会った。三沢氏はドイツの大学で学び、卒業後は技術系の仕事に就いたものの、国際交流や人と関わる仕事に興味があった。交流会で知り合った松山氏がFacebookで営業担当者を募集していることを知り、2019年に同社に入社した。

営業も漫画の制作進行も初めて携わる三沢氏だったが、松山氏がコツコツ指導した。

実は三沢氏が入社する前にスタッフが退職しており、そのことが松山氏にとって不安だった。しかし三沢氏は松山氏が教えることを実直にこなし続けた。

何よりも松山氏が嬉しかったことは、会社がやろうとしていることに、三沢氏も共感してワクワクしてくれていることだという。三沢氏が入社していなかったら、今のような事業はできていなかったと松山氏は振り返る。

 
真面目さと大物漫画家に物怖じせず交渉する度胸の良さも今では頼もしく感じている。また、後ろ向きなことを言わない姿勢にも精神的に支えられている。

つらい経験に漫画で立ち向かった少年は、今や経営者として「漫画で世界を平和にする」という目標を掲げ、自分に勇気を与えた漫画を世界に発信している。
そしてその側には、社長の目標に共感してきた相棒が、今日も彼をしっかりと支えている。

 

右から代表の松山氏、三沢氏

 
(取材・文/大阪産業創造館マネジメント支援チーム プランナー 中尾 碧)

株式会社アンシャントマン

代表取締役社長

松山 秀俊氏

https://www.mangaculture.com/

事業内容/漫画を使った広告物の制作、ブランディング