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採用時の「家庭訪問」を慣例化し組織力がアップ

2013.10.10

藪ノ氏は、社員が自分1人だけだった3年前、大手人材派遣会社で営業経験のあった男性をヘッドハンティングする際に“家庭訪問”を敢行した。「2人のお子さんを子育て中の奥さんが一番不安なはず」と考えたからだ。当時は創業から3年目。「藪ノ商店から脱し、営業や企画の仕事はそれが得意な人に任せ、組織力で会社を成長させていきたい」と第二創業を誓った頃だった。

事業内容を説明し、夢を、人材の必要性を語り、ぜひ応援してほしいと頭を下げた藪ノ氏に「夫の気持ちに任せます」と承諾の返事。「あれほど緊張したことはない」と振り返る。以降、社員を採用するたびに家庭訪問は慣例となった。「経営者はわがまま。社員にきつい言葉を投げかけそうになったときは家族の顔がちらつく。社員にとっては新しく入ってきた社員と家庭訪問の話題で盛り上がり、自分が入社した時の初心に戻れる」とその効果を説く。

「ベンチャー企業は給与も知名度も大手にはかなわないが、唯一のモチベーションは、自分たちで仕事を作っていけること」と、仕事の大半は社員に任せ、一人ひとりが働きやすい環境を整えることに専心する。ベンチャー企業なので深夜まで残って仕事をする社員も多いが、残業をしない働き方を選べる「ワーク・ライフ社員」制度を導入したのもその一環だ。

この6月、課長クラス以上を集めた幹部合宿を初めて開いたところ、「食事の時間も惜しみながら会社の課題を考える真剣さに打たれた」という。その場で1年以内に役員を内部登用することを公表した。この3年間で社員は25人にまで増えたが、離職者はわずか2人。売上高は年々2倍、3倍と順調に成長軌道を描いている。

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▲社員の声には素直に耳を傾け、仕事へのモチベーションを向上させている。

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▲6月に行った幹部合宿では活発な意見が飛び交った。

クックビズ株式会社

代表取締役

藪ノ 賢次氏

http://cookbiz.jp/

設立/2007年 資本金/3,700万円
従業員数/25名 事業内容/飲食業界に特化した人材マッチングサービス。飲食企業系列の同業者が多い中、クックビズは独立系で、現在約2000社の契約企業数を誇る。WEBマガジンも開設し、業界人のインタビューなどを掲載した充実したコンテンツも人気を呼んでいる。