位置情報の見える化をシンプルに実現
「Xeye(クロスアイ)」は、RFIDタグやバーコードなど物品に貼り付けた個体識別情報とGPSなどの位置情報を紐付け、これをスマホのアプリで読み込むことでモノの所在を簡単に把握できるシステムだ。
「木材などタグやシールが付けづらい場合は、マジックなどでモノに直接書かれた管理番号を、アプリ上で手入力して紐付けることもできます。扱うモノや現場の使い勝手をふまえ柔軟に対応できることが強み」と内橋氏は言う。
Windows95が発売された25年前に創業し、当時からモノがインターネットに繋がる、今でいうIoTの可能性に着目し、企業のニーズに応えさまざまなシステムを受託開発してきた。
ある頃から、反物やクルマなどの出庫時に在庫品をすぐに見つけたいというニーズが増え始め、個体識別情報と位置情報を組み合わせて物品位置を特定するシステムを相次いで受託開発。「探すムダを省きたいという要望が多いのならいっそシステムを汎用化して自社商品として販売しよう」と考え、できたのがXeyeだ。
中でも適しているのは「位置測位の精度の問題から、ある程度大きなモノ、そして決まったところに出し入れするのではなく、空いたところに入れるといったように物品の位置が定まらないフリーロケーション向け」だという。
17年に商品化した後、過去の納品実績から自動車関連企業への導入事例が増加。だが、さらに幅を広げたいとの思いから内橋氏は昨年11月Xeye専用HPでコラムによる発信を始めることにした。
今年4月に入り新型コロナウイルスの感染が拡大する中で書いたテーマが「在宅勤務が難しい工場等でのIoT活用」だ。
「せめて管理者だけでも在宅で製造現場の情報を把握するのに活用できないか」と考え、いつだれが、何を、どこに動かしたかの履歴を見られるようにし、工程の進捗状況や部品の滞留状況などを把握する活用法を提案。するとHPへのアクセス件数がひと月ほどで倍増した。
さらに「工場 在宅勤務」で検索するとトップページにコラムが上がるまでに。潜在ニーズを先取りした話題提供が功を奏したかたちだ。緊急事態宣言解除後の6月には問い合わせに結びつき、現在いくつかの案件が進んでいるという。
「課題や解決方法が明確な方にはWEBからの検索でXeyeにたどり着いてもらえているが、課題は感じているものの解決方法が明確化できていない潜在ユーザーに、どのように情報を届けXeyeを認知してもらうかが目下の課題」。
潜在ユーザーにも届くようコラムのテーマを思案中だ。
(取材・文/山口裕史)