商品開発/新事業

《講演録》社運を賭けた単品勝負戦略!〜八天堂のくりーむパンを愛され続ける商品にするまで〜【後編】

2020.01.06

 
♦奇をてらうのではなく、スタンダードの組み合わせから『くりーむパン』を開発

もともと私は商品開発が得意なのです。ただ、以前は珍しいものや奇をてらったものに走りがちで、一時的に注目されるものの、すぐに売れなくなるようなものばかりを作りがちでした。

そこで、勝負の一品を開発するにあたっては、経済学者シュンペーター氏の、ありものとありものを掛け合わせて新しいものをつくるという『新結合』の概念をヒントにしました。実際に世の中のヒット商品を眺めると、どれも“スタンダード×スタンダード”でできていて、全くの新しいものなんてないんですよ。

ひとつめのスタンダードの“クリームパン”にたどり着くまでに1年半かかりました。もうひとつのスタンダードとして、色々な食感の中から”口どけ”を選びました。パンで口どけを売りにしているものはなく、私自身もハード系のパン屋で修業していましたので、パンで口どけをうたうなんて邪道だと思っていました。でも、日本人は大好きな食感ですよね。

何度も何度も試作を重ね、冷蔵庫に入れても硬くならず、おいしいクリームがたっぷり入るパンの開発に成功しました。名称はシンプルに「くりーむパン」とし、包装も八天堂のロゴを前面に打ち出して、当社の歴史を感じてもらえることを重視しました。

東京と大阪で受容価格を調査した上で価格設定し、税込み200円(当時)という日本一高いクリームパンとして発売開始することができました。手土産という比較的ニッチなニーズにぴたっとはまり、おかげさまで、このくりーむパンは東京進出してから今年で11年になろうとしています。

 

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株式会社八天堂

代表取締役

森光 孝雅氏

http://hattendo.jp/

事業内容/一品事業、EC事業、カフェリエ事業、海外事業