キラリと光る付加価値を進化させていく
食品や化粧品のパッケージ、お酒のラベル、本の表紙などでゴールドやシルバーの輝きを放つ“箔”。印刷では表現できないキラキラとした美しさが、上質感や他との違いを表現したい商品特性とマッチし、さまざまな分野で活用されている。
この業界をけん引する存在とも言えるのが村田金箔だ。
同社が“選ばれる存在”となっている背景には、まず、商品の豊富なカラーバリエーションがある。カタログに掲載されているものだけで、その数は約100種類に及ぶ。「ゴールド」とひと言で言っても微妙な違いがあり、商品イメージに沿った希望の色を見つけることができる。
「同じ箔でも、紙に接着させるのか、プラスチックに接着させるのかで接着剤の種類を変える必要があります。箔押しがされたパッケージなどの使用シーンによっても接着剤は異なります。これらのことを考慮して接着剤を開発してきた結果、現在用いているものは約50種に及びます」。
そして、同社のもう一つの強みと言えるのが、情報発信力だ。同社では、豊富に開発した箔プリント用製品を、積極的に社外に向けて発信している。
その対象は、主な顧客層であるパッケージ業界はもとより、パッケージの制作に携わるデザイン業界へも及んでいる。この取り組みは近年、箔の新たな使い方の潮流を生み出しつつあると言う。
従来の箔は、文字やロゴマークをキラキラと輝かせてアイキャッチ効果を高めるための手法と位置づけられていた。しかし最近では、デザインのメイン要素として用いられるようになったという。
これは、箔がデザインにもたらす魅力の大きさと、フォイルを交換するだけで簡単に色をはじめ、ホロなどの多様な視覚効果が作れるという、箔ならではの小回りの良さが知られるようになった結果ではないかと南氏は分析する。
同社は今、「機能性を備えた箔」の開発に取り組んでいる。例えば導電性を箔に持たせることで、印刷物やパッケージが一種の電子機器になり、IoTデバイスとなることが可能だと考えている。
また、注目を集めているチップレスRFIDへの活用も検討している。さらに、「箔」という呼び名自体を変えることで認知の裾野を広げようという取り組みも。
「昔ながらの『箔押し』ではなく『箔プリント』に呼び名を変えています。そうすることで、検索のヒット数がまったく違いますし、世界からアクセスしてもらえるようになるのです」。
150年を超える歴史の中で、常に時代に合わせた新しい技術に挑んできた同社。得意とする、付加価値をもたらすキラリと輝く提案が、今後も楽しみだ。
(取材・文/松本守永)
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