スタッフ連載

Vol.12 業務効率向上が重要な経営課題であるものの、実効ある対策が講じられていない中小企業

2019.03.20

【産業創造館ネットモニター調査 2月期調査】
詳しくは⇒ https://www.sansokan.jp/tyousa/movement/monitor/2019_02.pdf

 
昨年12月期の調査結果では「業務効率の低さ/低い生産性」を経営上の重要な問題と考えている割合が、業種を問わず多かったことから、今月はこの課題について調査しました。

まず、業務効率の向上が経営課題としてどのような位置づけであるかを聞いたところ、「最重要課題の1つ」が2割弱、「重要課題の1つ」が6割強で、計8割を占めており、昨年5月期の調査と比較すると、一層、深刻化する傾向が続いています。

 

図1 経営課題における業務効率向上の位置づけ

 

図1で『(最)重要課題』と指摘した企業に対して、その理由を聞いたところ、「人材の量的不足」を指摘した企業が5割弱で最多、以下、「コスト削減に迫られている」が4割台半ば、「受注量・業務量の増加」が4割強となっており、これら3つが共通的な理由と言えます。

 

図2 業務効率向上が重要課題となっている理由(3つまでの複数回答)
※図1で「最重要課題」もしくは「重要課題」と回答した人のみ

 

業務効率が低いと実感するのは、どのような具体的事象によるのかを聞いたところ、「旧来の業務スタイルを踏襲している」ことが最多で、以下、「不完全なマニュアルによる不揃いな処理」が4割台半ば、「効率化可能な業務で、手作業のまま」が4割弱となっています。

そのような具体的事象を踏まえ、社内の部門別および会社全体に関して、業務効率のレベルを5段階評価してもらったところ、総じて『高くはない』実態が確認されました。

この状況を踏まえ、効率改善に向けて対策を講じているかどうかを、同様に部門別と会社全体についてたずねました。対策を「実施中」の割合は1~2割に過ぎず、効率改善の実現は容易ではないようです。「検討中」は3割台半ば~5割を占めますが、一方、「未着手」も3~4割を占めており、対策の方向性すら見つけ出せていない様子がうかがえます。

そこで、「実施中」あるいは「検討中」の対策の具体的内容をタイプ分類してもらった結果、最多は「業務のフロー化/マニュアル化の徹底と見直し」と「最新装置/IT導入によるシステム化/自動化」の4割台半ば、次いで「旧来慣行を打破する業務遂行方法の革新」の4割であり、これら3つが最も一般的・共通的と言えます。

これらは、効率の低さを実感する具体的事象を代表する3つ(「旧来スタイル踏襲」、「不完全なマニュアル」、「手作業のまま」)に対応する対策であることから、業務効率が低い事象を詳細に分析することで、実現可能な対策の方向性が定まることが言えます。

これら以外も含め、容易に成果が上がらないかも知れませんが、業務効率向上に向け粘り強く取り組んでいただくことを期待します。

 

図3 業務効率の向上に向けて「実施中」または「検討中」の対策のタイプ
※該当するものすべて

 

本編https://www.sansokan.jp/tyousa/movement/monitor/2019_02.pdfにはこうした状況をさらに詳細にたずねた結果などを紹介していますので、是非ともご覧ください。

(取材・文/大阪産業創造館 徳田裕平)


大阪産業創造館 徳田裕平
建設コンサルタント会社やシンクタンクを経て、縁あって旧・大阪都市経済調査会の事務局長に就任。
大阪市をどうやって元気にするかをテーマに日夜、調査・研究に励む。