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工業用スポンジのスペシャリスト

2018.11.28

ウレタンやプラスチック、ゴムなどの素材の内部にまんべんなく気泡(フォーム)を散りばめた工業用スポンジはあらゆるところに使われている。

ウレタンフォームは、吸音材や断熱材などに、プラスチックフォームは緩衝材などに、ラバーフォームは空気や水の漏れを防止するパッキンなどに…。

大番は創業来、これら多様な工業用スポンジの製造を手がけてきた。

「創業来どんな注文でも引き受けてきた結果、立ちはだかる課題を自分たちで克服する風土が根付いている」と大工氏。

自動車のガラスを運ぶ際に使う緩衝材に含まれる油がガラスに付着すると車体と接着しにくくなって困っているという相談に対しては、自動車メーカー、ガラスメーカーと3社で新たなウレタンフォームを共同開発。

こうした材料開発のほかに、複数の素材を張り合わせる加工技術など工業用スポンジに求められるあらゆるノウハウを蓄えてきた。

さらに同社が最大の価値と位置づけるのが、当日の朝に「夕方までに納品してほしい」といった要望にも応えられる即納体制だ。

それを可能にしている一つが設計提案力。目的と予算に応じてどのような素材、形状、加工を行えばよいのか瞬時に判断する。次にネットワーク。

例えば、複数の商品を格納してカバンに収める展示用ケースでは、ケースメーカーと連携し、適合するケースをすぐに入手できる体制を築いている。

さらに加工においては、スポンジ表面に両面テープを張り付ける機械を導入するなど可能な限り内製化を進め、速さを追求し続けている。

あるメーカーが5日後に迫ったイベントに出すフィギュアのディスプレイケースについて「他社では1カ月かかると言われた」が、これを4日で納品してみせた。

「実はうちは厳密な生産計画は立てず、急に入ってきた仕事をいつでも差し込む余力を持たせています。それを当たり前と思う現場の風土も強み」と大工氏はさりげなく言う。

木組みや格子模様などの木工工芸を、木に似せたスポンジで再現している

現在、新たに取り組んでいるのが木組みや格子模様など日本の伝統木工工芸を木に似せたスポンジで再現する加工だ。

「新しいことにチャレンジを」という社長の思いを受け、大工氏自身が楽しみながら形に仕上げた。スポンジの柔らかさを生かすことで使用シーンが広がり、アメリカから引き合いが来ているという。

工業用スポンジのスペシャリストとして築いたベースからさまざまな可能性が広がっていきそうだ。

製造開発部マネージャー 大工孝博氏

(取材・文/山口裕史)

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