すべての人を5分で眠りにつかせたい
ライフスタイルの変化やストレスの増加などで、成人の5人に1人が不眠に悩んでいるといわれる。自身もよく眠れない一人だったという東氏。
睡眠を30年間研究している大阪府立大学 名誉教授の清水氏とたまたま知り合ったことをきっかけに、「薬に頼らずに眠りを導く科学的な根拠」をもとに開発を行い、4年前に商品化したのが「Sleepion(スリーピオン)」だ。
最大の特長は、五感のうち音(聴覚)、香り(嗅覚)、光(視覚)の三感から複合的にアプローチしたことだ。光では「月明かり程度の暖色系」、香りでは「刺激の弱い天然由来のアロマ」を選んだ。
「Sleepion2」から、アロマの精油はべとつくため精油に12時間浸して定着させた特殊紙にしてカセットタイプにした。音については「ヒーリング音楽はあくまでも癒しのためのものであって使えない。眠りを誘う単調な音を作曲家に依頼してつくってもらった」という。
音質にもこだわり、高級スピーカーメーカーとも連携した。クラウドファンディングで購入者を募ったところ100台近くが売れ、大手百貨店との取引にもつながった。
本業は機械部品の調達業。「オーダーのあった部品の仕様をつくり、製造依頼をかけ組み立てるものづくりという点ではやってることは何も変わらない。違うとすれば自分が欲しいものをつくっているということだけ」とひょうひょうと語る。
とことん突き詰める性格で、睡眠にかかわるさまざまな情報に目を通し、睡眠研究の盛んなアメリカの睡眠学会にまで足を運び、改良のためのアイデアを練り続けている。
「Sleepion2」は持ち運びもできるよう手に収まるサイズにまで小型化し、より買いやすいように価格も「Sleepion1」の4万円台から半分に下げた。それでもまだ「投資を回収するには程遠い」と苦笑する。
現在、「睡眠で悩む人を5分で眠りにつかせたい」という目標に向け、「Sleepion3」を新たに開発中だ。
「交通事故だけでなく、さまざまな重大ミスを引き起こす不眠がもたらす影響は根深い」と、世界市場への進出も進めている。
(取材・文/山口裕史)
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