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「香りをカタチに」用途にあわせて成形できる香りのタブレット

2017.06.01

車やハート型、ドーナツ型などいろいろな形に対応できる。

今や芳香剤は百花繚乱。液体やゲル、紙などさまざまな素材が香りの媒体として用いられている。錠剤のメリットは液だれがなく軽いこと。また加熱する工程がないため、香料の成分が変化しにくいことも特長だ。

第一商事は、入浴剤や洗浄剤、防虫剤など粉末薬品の錠剤加工を行う専門メーカー。
中でも合成ケイ酸カルシウムの粉末であるフローライト®に圧力をかけ、錠剤に成形した「フローライト®タブレット」は、ここ数年問い合わせが相次いでいるという。

1グラムの錠剤に対しおよそ1グラムの液体香料を直接染み込ませることができ、円盤型やスティック型などいろいろな形に加工できる。一度含浸させた香料は再び染み出すことがないため、電子部品の多い車の芳香剤に多く使われている。ほかにも置き型の防虫剤や、アロマの香りを封じ込めた美容関連グッズなどに展開されている。

1日あたり1万錠という小ロットからOEMが可能な同社には、多種多様な要望が寄せられる。製品化にあたって最大の課題は、安定した量産。タブレットの強度は?求められる分量の香料を含浸できるか?香りの持続性は?放出は均一か?錠剤の強度の計算はもちろん、金型がないものは手作業でタブレットを削り出し、試作品で検査を重ねる。

最終の決断は「今日までの経験値を頼りにやるしかない」と和田社長。新規のラインが稼働する初日は、今も緊張が走ると話す。

医療やエンターテインメント分野など、まだまだ多くの可能性を秘めた香りの世界。香料業界の発展とともに、香りを運ぶ媒体も進化を続けている。

代表取締役 和田 信二氏

(取材・文/北浦あかね)

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