未来に先手、二代目社長の危機感から生まれる3Dプリンタ事業
【今夜のお客様】
代表取締役社長 藤川 勝也氏
【社長のホンネ~社内ベンチャー編~】
未来に先手、二代目社長の危機感から生まれる3Dプリンタ事業
イケダ:射出成型や金型にとって代わる3Dプリンタを取り入れて社内ベンチャーを始めたのはわかるけど、VR(Virtual Reality)の導入も見据えているとは、ちょっと驚き。
社長:ご承知の通り、この業界はこのままでは厳しい。「日本のものづくり技術」と誇ったって、すでに中国やベトナムに追い越されているかもしれない。うちが扱っている主製品は梱包用資材の金型で付加価値を出しにくいから、値下げ要求の対象になりやすい。とまあ、あきらかに環境が向かい風やから、生き残りたかったら新しいことをやるしかないねん。
イケダ:でも、明日から取引がなくなるわけじゃないし、新規事業を起こすのは、社内で反対もあったんじゃない?
社長:そこは強引に押し切った(笑)。確かに既存事業だけ続けてもあと数年は大丈夫なんやけど、価格勝負の仕事はやっぱりおもしろくない。もっと川上工程のプロダクトデザインから関わって、3Dプリンタで試作品を作って、量産に向けたアドバイスをするっていう、お客さんの困りごとを解決できるようなものづくりがしたかったんよね。
イケダ:新規事業は、3Dプリンタを使って高付加価値化を図る、ってこと?
社長:設計図面を低コスト&短期間で形にできるのが3Dプリンタの特長やけど、実際に作ってみたら機能として不備があったり、量産までの改良点が多い。その度に試作し直したら結局高コストになる。金型を作るより手軽やけど、実は試作と量産までの間のトラブルは増えてるねん。
だからうちは、プロダクトデザインができる強みを活かして、「今のままの設計だとこんな不具合が起こるはず」と試作段階からコミットしていこうと。それがうちにしかできない仕事で、現場が「おもしろい」と思える仕事に繋がるはずやと。
イケダ:強みを活かして脅威を乗り切る。まさにSWOT分析の賜のような新規事業ね。
社長:まだ収益源には育ってないけど。でも体力があるうちにVRとか先端技術も試して、次の一手を考えたいなと思う。
イケダ:変わるってとても大変なこと。だからこそ、前向きに変わろうとする人が私は大好きです。がんばってね!