元金融マンの【マッチングの流儀】Vol.8 「これからの展示会の話をしよう」
金融機関に求められるのが「金貸し」だけではなくなった昨今。「じゃあ、取引先は何を求めているのか?」と頭を悩ます金融マンも多いとか。
元金融マンで、現在、大阪市の中小企業支援拠点「大阪産業創造館」で、中小企業の商売繁盛のために大奮闘中のワタクシ竹内心作が、金融機関の皆さんに「ビジネスマッチング」の極意を紹介していきます。
10回にわたってお送りするマッチングの流儀。今回は展示商談会の運営についてです。
「この前の金融経済新聞 見ましたよ。実物よりも太って見えますね」。
先日の同紙「ランナー」の欄に、当館と金融機関さんの取組みを掲載していただいた。
中小企業応援団も現在のところ加盟数31機関。地域の中小企業さんを非金融面でお手伝いするために、販路開拓、技術パートナー募集などの分野に注力している。
私は30歳の峠を過ぎてからブクブク太っているが、彼らはダラダラ汗を流して頑張っている。カッコイイ仲間たちだ。
さて、今号はビジネスマッチングイベントの華「展示商談会」について言及したいと思う。
とは言え、金融機関のノウハウ、私の失敗談などを羅列しても仕方ないので「Q&A」方式で記述する。少しでも参考になれば良いのだが。
Q.開催テーマをどのように決めれば良いでしょうか。
A.
自分で決めなはれ、と言いたいところだが初めてイベントを主催する金融機関にとっては一番の悩みどころかもしれない。
オススメは自行庫が得意とする分野、つまり取引先に多い業種だ(当たり前だが)。
うちは食品関係の企業が多い、ものづくり企業の集積地があるなどの理由からテーマを選定すると、その後の取組みがスムーズである。
イベントの恐い(?)ところは、一度実施すると基本的に毎年継続していかなくてはならないところだから、一発目に下手は打てない。
しかもあらかじめ発展性のあるテーマにしなくてはならない(初年度に「アルミダイキャスト技術展」をすると、後がツライ)。
十年の計で決めると良いだろう。
Q.出展企業をどのように配列するのが良いでしょうか。
A.
イベントテーマが決まり、出展企業が集まった後、地味に困るのが出展企業の配置だ。
公平に配置しようとすればするほど、どこにどの企業を置けばいいか分からなくなる。
大きな展示会ならば「調味料ゾーン」「スイーツゾーン」「レトルトゾーン」等のカテゴリ分けができるだろうが、『環境・省エネ展』などでドカンと打ち出してしまうと、細分化できないので困っちゃうのだ。
これについては、竹内総研が開発した「コラボユニット配列」を紹介したい。
何だかすごそうな名前だが、仕組みは単純。
「つながるかもな~、取引になるかもな~」という会社を近くに配置するのだ。
例えば、繊維系の素材を扱っている企業と、撚糸加工をしている企業と、ファッション製品の企画卸をしている企業を一つのユニットとして配置する。
出展企業同士がつながる工夫も、主催者にとっては楽しみの一つだ。
Q.マッチングの成果はどのように把握すれば良いでしょうか。
A.
マッチングイベントを行う者の、永遠のテーマがこれだ。難しいよねー。
打上げ花火ならば、「やった」事自体が成果なのだろうが、真に中小企業のことを考えるならば、やはりマッチングの成否を把握しなくては意味がない。
来場企業と出展企業に分けてヒアリングするのがいいと思う。
前者には実施直後に、後者には1~2ヶ月後に聞くのはどうだろうか。
熱の冷めないうちに聞き取り、余裕があれば両社突合せての把握を行う。
顕著な事例が出そうなら、集中してヒアリングを行い、部内で共有しフォロー体制を作っておく。そんなところか。
もし 読者の中で、工夫して成果把握している方がいらっしゃれば是非教えていただきたい。
今回は展示商談会にフォーカスし、ポイントを述べてきた。次号は提案型の商談会についてお話したいと思う。
(大阪産業創造館 竹内心作)
【元金融マン竹内が手掛ける!】
大阪産業創造館と金融機関が協働して中小企業の販路開拓や売上拡大を応援
中小企業応援団
大阪産業創造館
プランナー
竹内心作
http://www.sansokan.jp/supporters/
岡山県出身、元銀行マン。大阪産業創造館と在阪の金融機関が協働して中小企業の販路開拓や売上拡大を応援する中小企業応援団を取り仕切る。愛読書は「鬼平犯科帳」、座右の銘は「守破離」の若年寄キャラ。