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樹脂開発を極めた先に思い描く、ものづくり大国・日本の復活

2026.08.20

「樹脂の開発には終わりがない。だから楽しい」と目を輝かせて語るのは、2024年にN.6(エヌロク)株式会社を設立した野村氏。20年以上の業界経験で培った豊富な知見を武器に、新たな樹脂素材の試作・開発を請け負う。一人社長として営業から試作まで、すべてを自ら手掛ける野村氏の原動力は「ものづくりをもう一度憧れの職業にしたい」という思いだ。

2003年にフィルム加工会社でキャリアをスタートさせた野村氏は、数年後には中国工場の設立を主導。そこから約6年にわたって現地で指揮を執り、帰国後は開発営業を経て執行役員に就任する。2019年には樹脂加工を手がけるグループ会社へ異動し、技術開発や品質管理を学んだ。20代から30代にかけて樹脂の開発・製造・加工に必要な知識や技術を身に着けた野村氏は、満を持して起業を決意。競合する事業内容にも関わらず、会社の代表は応援してくれたという。

原料の配合や加工条件を変えながら、フィルムを試作。蓄積したデータが開発を支える。

そんな同社の武器は、顧客に提供するデータにある。樹脂素材の特性は、原料や添加剤の種類、配合比率によって変わるのはもちろん、コンパウンド時の温度や速度、冷却時の温度など、無数の要因が複雑に影響を与えあう。それらのデータをまとめた詳細な資料は、顧客のスピーディーな意思決定を可能にし、開発の加速や量産体制の最適化にも貢献する。「ここまで詳細なデータを提供する会社は他にないと思います。これは試作に特化しているからできることです」と野村氏は語る。

そして、このデータ提供を可能にしているのは、やはり野村氏の圧倒的な知見だ。「ずっと開発畑を歩んできたので、誰よりも多くの樹脂や添加剤を扱ってきた自信があります。それに加えて、熱の加え方や押し出し方など、加工法が与える影響についても的確なアドバイスが可能です」と強みを語る。

混ぜ合わせた樹脂を機械で押し出し、水中で冷却。条件を変えながら試作を重ねる。

「創業後2年ほどは顧客の開拓に苦労した」というが、約700社のメーカーへ地道に営業メールを送り、少しずつ認知を広げてきた。また「ホームページの閲覧を伸ばすにはSEO記事が有効」というAIの助言を参考に、樹脂加工に関するブログを毎日のように更新。「実際に閲覧数が約5倍に増え、そこから急激に受注が増えました」と効果を強調する。「自動車、アパレル、食品、産業機械など、あらゆる分野のメーカーさんが顧客になります。さらには機能性樹脂などの素材開発を手がける会社も顧客の対象となるため、川上から川下まで市場は広がっています」と今後の成長に期待を寄せる。

さらに遠い未来の夢を聞くと、日本の「ものづくり」に対する熱い思いがあふれ出た。「私が就職した2003年頃は、日本の液晶テレビが世界を席巻していました。その後、勢いが失われていく様子に寂しさを感じながらも『資源が採れない島国だからこそ、開発力や技術力で負けるわけにはいかないし、まだまだ戦えるはず』という思いを募らせてきました。そのために一番大切なのは『開発者は、かっこいい』と胸を張れる環境づくりだと思っています」と語気を強める。ものづくりを支える開発者が子どもたちの“憧れ”となれるよう、野村氏の奮闘は続く。

代表取締役 野村 亮氏

(取材・文/福希楽喜)
※掲載写真は、編集部にて撮影したもの以外に、取材先企業からご提供いただいた写真も含まれています。

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N.6株式会社

代表取締役

野村 亮氏

https://n6inc.net

N.6事業内容/樹脂試作開発、フィルム・シート試作、特殊樹脂ペレット開発、各種物性評価・測定