株式会社ArchのDX革命 建設業界の未来を切り開く
建設現場で用いられている機器の多くは現在、施工する会社が所有しているのではなく、専門の会社からのレンタル品でまかなわれている。その種類は送風機や仮設照明などの小型のものから、仮設ハウス、ひいてはクレーンやショベルカーなどの重機にまで至る。ここで課題になるのが、機器の発注や管理などの業務だ。
発注手段は電話かFAXである上に、管理もほとんどが紙の帳票だという。「レンタル機器はゼネコンが一括してレンタルし、職人さんに貸出します。この運用のなかで、帳簿上では返却しているのに実際には返却されていないという事態もしばしば起こります。その原因と実際の機器の状況を調べようとすると、膨大な帳票をさかのぼる必要があります」。そう語るのは、株式会社Archで代表取締役CEOを務める松枝氏だ。松枝氏は大手ゼネコンで現場監督を務めた経験を持ち、レンタル機器の管理に常日頃、頭を悩ませていた。そこから生まれたのが、同社が提供する建機レンタルに関する業務のデジタルプラットフォーム「アーチ」だ。
アーチは、複数のレンタル会社に対する見積の一括依頼、スマートフォンとネットを使った「いつでも、どこでも」発注、機器の在庫状況や稼働状況のデジタル管理といった機能を持つ。2022年5月から大手ゼネコンと連携して建設現場で実証実験を行ったところ、機器のレンタルに関するコストが約30%削減できた。また、稼働状況が「見える化」されたことによって、借りたものの使っていない機器を早々に返却できるようになり、ここでもコスト削減が実現した。「一括見積のサービスを提供できるのは、私たちの立ち位置だからこそ。特定のゼネコンの業務フローなどに偏らない、あらゆる建築現場で使いやすい仕様になっていることも、特色の1つです」。
実証実験の結果は非常に好評で、実験に参加したすべての建設現場から「引き続き使用したい」という声が寄せられた。2022年9月に本格リリースされ、2023年4月からはセールスに注力する計画だ。2025年までの「ゼネコン売上げ上位100社すべてでの導入」と、2027年のIPOを当面の大きな目標に掲げている。「建設の仕事に憧れる人は多いですが、『きつそう』というイメージから離れていく人も少なくありません。当社のサービスによって、この風潮を変えることも目標です」。
建機レンタルに関する業務のDXを進め、建設業界の働き方改革を後押しする。それによって、憧れの対象としての建設業界の輝きを取り戻す。それが、松枝氏たちが見つめる未来の社会だ。
(取材・文/山口裕史)
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