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アイデアを形に、マッチングでさらに進化

2017.07.06

「試作はしてみたがどうデザインしたらよいのか」「売れる商品にするためのデザインを考えてほしい」…。
プロダクトデザイン、設計開発を行うハニカムエンジニアリングにはこんな相談が連日寄せられる。見た目を重視する顧客は多いが、同社が提案するのは使いやすさをふまえたデザインだ。デザイナーとエンジニアを半数ずつそろえ、デザインだけでなく設計開発、さらにはファブレスでのものづくりも対応できることが同社の強みだ。

代表取締役 戸嶋良洋氏

創業以来、「偏食することなくどんな仕事でも引き受ける」ことがモットー。その結果、製品化するための素材、要素技術、工法の引き出しが広がった。依頼時に顧客が実現したいことを聞いた段階でデザインから形にするまでのプロセスをイメージできるため、見積もりも数日以内に提示できる。さらに、3次元CADを使うため、図面で見た通りにモノが完成することも顧客満足度の高さにつながっている。

6年前、「ビジネスチャンス倍増プロジェクト」のマッチングナビゲーター(※)、東浦氏が訪問したことをきっかけに、さまざまな業界、取引先のネットワークを持つナビゲーターから持ち込まれた依頼は数知れず。

大阪産業創造館 ビジネスチャンス倍増プロジェクト マッチングナビゲーター 東浦氏(左)と、株式会社ハニカムエンジニアリング 戸嶋氏(右)

車両設備会社からは、車いす用の補助装着型機器のデザイン・設計依頼があり、手動アシスト機能を提案し、採用された。また、釣りが趣味の内装会社の会長からは、10年がかりで試作を繰り返してきた伸縮式の電動タモ網をいよいよ実用化したいという相談には、小型モーターを採用。パッキンを組み込み防水性も持たせた構造を考え、商品化にこぎつけた。ほかにも、産業用ベルトのパイオニア企業であるバンドー化学が独自開発した伸縮性ひずみセンサ技術を用いて、高齢者が飲食物を嚥下しているかを判断できる装置の開発では、意匠デザイン、設計、試作器の製作に携わった。

多様な案件が次々に持ち込まれるだけに、「デザイン、製造に結びつけるための新たな加工技術も常に求めている」と戸嶋氏。この思いに応えるようにナビゲーターからは加工委託できる外注先についても次々と紹介を受けている。板金加工、FRP成形などのほか、紙加工会社ともつながり、パッケージ包装まで担える体制も整った。「同じ加工ができるところでも複数の企業とつながっていれば短納期に対応できる」とネットワークの広がりを歓迎する。

デザイン、設計開発に悩む企業の入口となり、それを製品化していくための出口の外注先ともつながり、アイデアを形にする機能がますます進化を遂げているハニカムエンジニアリング。その出入口の両方を総勢48人のマッチングナビゲーターが支えている。

(取材・文/山口 裕史)

※電気・機械・化学分野などトップ企業出身の技術者OB。

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