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【あぁ、麗しのファミリービジネス】Vol.19 私が起業家以上にファミリービジネス後継社長推しな理由

私はビジネス紙の編集長という仕事柄、経営者という人生を歩んでいる方々にしょっちゅうお会いします。
勤めていた会社で社長になった方、起業した方、家業の後を継いだ方・・・

私は、いつの頃か家業を継いだ後継ぎ社長の方々の人生に強い関心を持つようになりました。

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確かに、何もないところからスクラッチでビジネスを起こす起業家はすごい。
かくいう私自身も20代で起業を志し、すぐにお尻を割った経験があるので、自分が起こした会社できちんとキャッシュをまわし、事業を継続している方々を尊敬しています。

でもね、誤解を恐れず言います。
起業の理由って意外に単純なんちゃうかと。(スンマセーン)
だって独立する時点で「事業の存続」とか「30年後の会社のありよう」とか考えた人ってどのくらいいるんだろう。

私の場合は、起業を志した理由はめちゃくちゃ単純です。
自分が一生働ける居場所を確保したかった。それだけ。
ぶっちゃけ自分のことしか考えてなかった。
(ま、だから続かなかったんだけど。。。)

でも周囲の起業家の皆さんのことを思い浮かべても、

雇われる人生がいやでとりあえず独立したかった。
自分の好きなことを仕事にしたいと思った。
勤めていた会社が倒産してしまったので、家族を食べさせるために、手っ取り早く独立できる商売を始めた。
転勤の辞令が出たので地元に残りたくて独立した。

・・・などなど、独立した理由は、意外と「たまたま」だったりする(笑)。
いずれにせよ、「その時」や「自分」が主たる理由で独立する人が多い気がします。

一方、家業を継いだ人たち。

日本では、個人保証や株の問題で、子どもが承継せざるを得ないケースがほとんど。
たまたま経営者の家に生まれたというだけで、その商売を継ぐかどうか悶々としながら育ちます。
親の商売は必ずしも自分の好きな分野じゃないし、斜陽産業だとも感じてるし、親族間のゴタゴタにも辟易としてる。
でも「家業が生み出した利益」で大きくなったという自覚はちゃんとある。
継ぐ継がないにかかわらず、自分の先祖が築いてきた会社がなくなってほしくないという気持ちは誰にでも芽生えます。

そして好きなことや得意なことを自分の仕事にした起業家と比べ、継ぐと覚悟を決めた後継社長は家業の「意味」や「価値」を考え始めます。

この事業を続ける意味は?
この事業を世の中に残す意味は?
この会社が世の中に存在する価値とは?

これらの問いを自分自身に投げかけ続けているように見えるんです。

もちろん家業を引き継いだ人生を自分で納得したいという気持ちもあるでしょう。
でも、親がやっていた商いをそのまま引き継いでも生き残れない。
世の中に必要とされている商品やサービスには、ファミリービジネスが生み出したものがたくさんあります。
そこには、「今ある商品」にさらなる価値をもたらし、「今ある会社」にさらなる意味づけをしようとする後継ぎ社長の存在があるわけです。
起業家とはまた違う後継者としての美学がそこにはあります。

今の世の中は、起業家礼賛です。もちろん業をゼロから起こす人を応援するのはとても大事なことです。
一方で、既得権益のように語られることも多い同族経営。深刻化する後継者不在問題を「産業界に新陳代謝ができていいじゃないか」と、単純化して片づける専門家もいます。

でも長い目で見た時に、会社の存続を原動力に奮闘する後継ぎ社長が社会にもたらす価値は、起業家同様大きいってことも「声を特大にして」申し上げておきたいと思います。

ファミリービジネス万歳。

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ファミリービジネス成長モデル

【筆者Profile】
大阪産業創造館 山野 千枝

本紙「Bplatz press」編集長。数多くの中小企業を取材する中で、家業を受け継ぎ、事業を展開する経営者の生き様に美学を感じる一方、
昨今の後継者不在問題を憂いて「ファミリービジネスの事業承継」をテーマに現役の後継社長とともに関西学院大学、甲南大学、関西大学で教鞭をとる。
実家も四代続くファミリービジネス。

2016年05月23日
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