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プライベートブランド化 若者に魚を

 「従業員とその家族が幸せになる会社をめざす」。水産物の加工品を製造・卸売りする大商水産株式会社(大阪市東住吉区)の代表取締役、近藤達夫氏は2代目社長として就任する時、こう誓った。同社は達夫氏の父・大三氏が、1964年に大阪市東部中央卸売市場内で水産物の仲卸として創業。当初は塩干物(えんかんぶつ)の卸売りが中心であったが、取引先から商品の加工要望が増加し、その割合が増えていった。しかし、家庭の食生活の変化、特に若年層の魚離れの影響は大きく、鮮魚店の廃業なども増え、近年は先行き不安な状況が続いていた。

 そうした中、大三氏は5年前に大きな事業転換の決断をした。ひとつは、NB(ナショナルブランド)商品の取り扱いばかりではなく、自社加工品、すなわちPB(プライベートブランド)商品、特に西京漬け、漬け魚商品の製造・販売への移行だ。「魚をもっと食べてもらえるように、家庭で簡単においしく調理できるように」との思いから、レンジで魚を簡単に焼けるシート『おてがるくん』の開発・販売を行った。売り上げ減少、後継者不在などで多くの同業者が廃業していく中、この事業転換は成功であった。もともと、“買って売る”ことに仕事の面白さを感じていた達夫氏は、社内、外部展示会への出展、取引先との付き合いなどを積極的に行い、事業を成長させていった。しかし、代表就任から約1年後、2人の社員が「社長から何を自分たちがしているか見てもらえていない」と退社し、社長として大きな課題を突きつけられる。

「創業者はワンマンでもいいが後継者はそれではいけない。家業のままではなく、何十年と続く企業を作っていかなければいけない。そうでなければ就任時の誓いは達成できない」。

 そう考えた達夫氏は、改めて経営者としての仕事を見直し、対外的な活動は続けつつ、従業員と話す機会を増やすようにした。 現在では、会社の行く道を示し、実務は幹部や社員に任せる組織づくりを進めている。出社時間が代表就任前より減っている状況は変わらないが、その理由を従業員が理解してくれるようになった。「社長として会社づくりを行ったら、次は自分の後継者を育てる。それが2代目の仕事」。“買って売る”以上の面白さを得た達夫氏は、笑顔でそう答えてくれた。

(大阪産業創造館 プランナー 荒井祐己子)

大商水産▲魚の加工品の商談風景。食べやすくする工夫が続く

2012年05月14日
大商水産株式会社
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