自社の強み、全社員で共有し、伝えられるように

中小企業を就職の選択肢に入れる学生が増えつつある中、学生側からは中小企業の情報が少ないとの声も聞かれる。

中小企業は学生に何をどのように伝えればよいのか。

学生と中小企業が幸せな関係を築くための方策を近畿大学経営学部キャリア・マネジメント学科 准教授の松本誠一氏に聞いた。 

 
学生の就活を見ていて感じることが二つあるという。

「まず、早くから動き出す学生と、3年生の冬になってようやく動き出す学生とで二極化していることです。能力的にも人格的にも差がなくても、準備、動き出しの早さで大きな差がついてしまいます」。

 
もう一つは、安定志向が強いことだ。
「ふたことめには『就活に有利な資格は何ですか』と聞かれる。新卒を資格で選ぶ会社などあまりありませんし、試行錯誤しながらでも自分の軸、強みを見つけてほしいですね。そのプロセスを企業も評価してくれるはずです」。

それは中小企業の側にも言える。
「『うちは大企業じゃないから』などと言い訳がましいのは言語道断。その気持ちは学生にも必ず伝わり、ネガティブな学生しか集まってきません」。

 
毎年5万社以上の企業が倒産・休廃業を余儀なくされる中で存在し続けているということは、それだけ社会に必要とされているということ。SWOT分析などを通じて強みを把握し、それをしっかり伝えていくことが大切だ。

社長自身の人間性が魅力的、海外に取引先があり、出張するチャンスがたくさんある、協力企業との信頼関係が構築されており納期が早い、ということだって立派な強みだ。

「問題はその強みを社員全員が理解するところまで落とし込むことです。社長だけが感じていても、社員が『なんでうちなんか選んだん?』というようでは台無しです。たくさんの学生の人気を取る必要はなく、例え少数でも、とがった強みに共感してくれる学生をしっかり囲い込めばいいんです」。

 
学生と接点を作る近道として大学とコラボすることを勧める。合同説明会に参加することから学生の力を借りて商品開発することまで関わり方はたくさんある。どの大学にも産学連携の窓口があるので門をたたいてみるといい。

 
 せっかく採用してもミスマッチで辞めてしまうことがある。これを避けるには、学生の側も企業の側もいいことだけでなく、悪いことも伝えることだ。

「悪いことも含めて納得したうえで、いいことにコミットメントしていくことができ、過度な期待に裏切られずに済みます。採用時期については、大企業の採用や公務員試験が終わった初夏以降に動き出すのも一つの方法です。大企業と相性が合わなかった学生や、公務員をめざしていた学生の中に光る学生はいくらでもいます」。

キャリア・マネジメント学科 准教授 松本誠一氏

(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)

2019年12月09日
近畿大学 経営学部
キャリア・マネジメント学科 准教授  
松本 誠一氏
経営コンサルティング会社、企業調査会社を経て、2014年4月に近畿大学経営学部准教授就任。企業勤務時代に延べ5,000社以上の企業訪問経験を有し、中堅・中小企業を対象とした知的資産経営、事業承継等の豊富な支援実績を有する。

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