トライアルアンドエラーを繰り返し、満を持して独立

「ドリブルをたくさん練習するよりまず試合に出ること」。

いつかは起業をと考えていた笹尾氏を行動に突き動かしたのは、同じようにサラリーマンから独立し「師匠」と仰ぐ先輩からの言葉だった。OA機器販売会社の営業マンとして働きながら、週末の時間を利用し、趣味で続けていたキックボクシングのジム運営を4年前に始めた。

毎日自らに課したのは「失敗ノート」。価格設定、トレーニングメニューで浮かび上がった課題点を記録し、すぐに改善を図るトライアルアンドエラーの繰り返しでビジネスモデルに磨きをかけた。会社員の月収に追いつくめどが立ち、2019年3月に独立を決めた。

だが、同じタイミングでジムの会員数が15%減り、「(起業を)辞めたい」と3週間落ち込んだ。踏ん張れたのは師匠からの「おまえなら必ず成功する」の言葉。今できることを精一杯やり切ることを自らに課し、1日8時間チラシのポスティングを続け、息を吹き返した。

「壁にぶつかっても乗り越える力がある。それを見込んで師匠は“成功”という言葉を使ってくれたのだと思っています」。今日もまた一つ新たな課題を克服しながらさらなる高みをめざす。

ぎっしり書き込まれた「失敗ノート(右)」。

◎準備期間:4年
◎開業資金:50万円
副業を始めた時期は子どもが小さかったこともあり、まずは無理のない範囲で始めようと考えた。
◎家賃:2万円/月(スタート時)
土曜昼2時間のトレーニングでスタートしたため、費用を抑えるため時間貸しスペースを月2万円の家賃で借りた。
◎設備費:10万円
トレーニングに使うグローブとミットを合わせても経費は10万円程度。損益分岐点は低く、会員を増やせば利益を生む。

代表 笹尾 知永氏

(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)

―― 起業年表(起業ストーリー) ――
◎2004年1月
空手の次の趣味としてキックボクシングを始め、約4年間は試合にも出場。その後は趣味としてジムに通い続ける。
◎2015年3月
副業で吹田・江坂にキックボクシングのジムを開設。土曜昼コースから始め土曜夜、日曜夜、水曜夜へとコースを広げ拠点も3カ所に。
◎2019年5月
家族を養えるめどが立ったタイミングで起業を決断。これまでの収益データを見せ、実績を示すことで「妻にも安心してもらった」。

―― 働きながら起業準備してみて ――
◎良かった点
収入を確保し、家族の生活費を確保しながら、起業にチャレンジし、試行錯誤を繰り返せるところ。
◎苦労した点
開設初日の会員数は2人。会員獲得に苦労した。HPのようなプル型での集客は難しく、チラシによるプッシュ型の集客に力を入れている。
◎気を付けるべき点
小さな課題でも積み残さずにすぐに解決すること。どうすればより良くなるかを考え抜くことが大切。

―― <起業・独立>ココがポイント ――
笹尾さんはサラリーマンをしながら週末の時間に起業準備をしてから専業に移行しました。定期的に事業の進捗や新しいアイデアを報告してくれていましたが、平日の日中ではなく、経営相談室の夜間・休日経営相談を利用して面談に来てくれました。笹尾さんは思いついたアイデアを実行しトライアル&エラーを繰り返して直感ではなく顧客ニーズを検証した上で退職を決意しました。収入を減らすことなく、ご家族にも心配をかけずに独立開業した好事例だと思います。
(大阪産業創造館 創業支援チーム 石嶺 一樹)

【 夜間・休日経営相談 】https://www.sansokan.jp/akinai/yakan.html

ishimine

2019年10月04日
M・Iキックボクシングスクール
代表  
笹尾 知永氏
事業内容/キックボクシングジムの運営
従業員数/4人

今月の町工場で働くオトコマエ

ゲンバ男子

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