繊維加工薬剤の技術知識得て機能品開発に足がかり

工業薬品を大きく分けると構造品と機能品の2つがある。前者は化合物単体としての純度や安定性が求められ、ターゲットが明確な分、競争も激しい。対して後者は目的の機能を発揮できるよう多くの化合物が配合されるためアプローチは多様で、付加価値が高い。

辻本化学工業は創業来、ジメチル硫酸をはじめ医薬品や界面活性剤などに使われる構造品の製造を手がけてきたが、取引先から服を染色するために使う繊維加工薬剤の開発依頼が持ち込まれた。さまざまな化合物を配合して、繊維に染色するために使われる薬剤で、同社に初めて舞い込んできた機能品の案件だった。

同じ機能の薬剤をより低コストでとの狙いで同社に持ち込まれたのだが、取引先もその薬剤を仕入れて使っているだけで成分などの情報は知らない。守秘義務もありその機能もおぼろげにしか明かされなかった。「あらゆる文献を当たってみたが、薬剤の成分はおろか機能品を製造するアプローチもわからずお手上げ状態だった」と白石氏。

やはり機能品である繊維加工薬剤のハードルは高いのかとあきらめかけていた時、以前から同社に新たな取引先を紹介してくれていた大阪産業創造館ビジネスチャンス倍増プロジェクトのマッチングナビゲーター石原一彦氏が、繊維分野の薬剤に詳しいことを知った。産創館が始めたばかりの訪問技術相談サービスを活用し、繊維加工薬剤のイロハから教わることにした。

石原氏は独自のテキストを作成。白石氏、藤井氏、橋本氏の3人に、化合物を配合するとどのような機能を発揮できるのか、またどのような目的でどのような薬剤が使われるのか基礎知識を伝授した。

取引先とは薬剤に関する知識がお互いにないため開発の端緒さえつかめなかったが「教えをもとにひとまず求める機能に近いサンプルを作り、使ってもらうことで製品のイメージがつかめるのではないか」と橋本氏は挑戦意欲を掻き立てられた様子。「次の案件を依頼された時にはもっと踏み込んで相談し、さらに教えを請いたい」と白石氏。石原氏も「知ることで世界が広がり、ものづくりを楽しいと思ってもらえることこそ私の使命」と、これからも温かく見守っていくつもりだ。
※電気・機械・化学分野など大手企業出身の技術者OB。

取締役 生産本部長 白石氏(右)、橋本氏(中央)、マッチングナビゲーター 石原氏(左)

(取材・文/山口 裕史)


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2019年02月13日
辻本化学工業株式会社
取締役 生産本部長 白石 武利氏
技術部技術課 藤井 智之氏、橋本 弘亮氏
事業内容/工業薬品の製造

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