冷静さと判断力で私の“夢”を応援してくれる相棒

大阪産業創造館プランナー 中尾 碧がお届けする【聴きたい!社長の相棒】

社長だって一人の人間、しんどい時もあります。そんな時にモチベーションの支えとなり、「一緒に頑張っていこな!」と声をかけたい“人”または“モノ”がきっとあるはずです。当コラムでは社長のそんな“相棒”にクローズアップ。普段はなかなか言葉にできない相棒に対するエピソードや想いをお伺いしました。

【 vol.3 】株式会社絆工房~冷静さと判断力で私の“夢”を応援してくれる相棒~

今回の株式会社絆工房は、オフィスビルの一室で食用リーフ(以下リーフ)の水耕栽培を行う会社だ。ドアを開けるとリーフの栽培スペースが目に留まり、社長の土屋氏と“相棒”である常務の吉田氏が笑顔で出迎えてくれた。

土屋氏は天然石の販売会社も経営しており、子息も一緒に業務に携わっていた。しかし、自閉症である子息が携われる業務量は全体の10分の1程度。

ある日、天然石の袋詰め作業を子息に任せた際、きっちりと規定の量を測り、ミスなく作り続けるという高い集中力を目の当たりにした。
「障がいがあっても、ある部分では非常に高い能力がある。それを活かして彼ら自身が輝ける仕事があれば」。

その気づきから障がい者や高齢者が主となって働くことができる会社を作ろうと思い立った。

植物工場にした理由は、土屋氏自身が食物アレルギーに苦しみ、勉強や情報収集を重ねた結果、無農薬で無添加の野菜生産に魅力を感じたためだ。また作業が簡単で就労時間も安定しており、障がい者や高齢者が取り組みやすいと判断した。

事業には専門的知識が必要であることから、知人でもあり、農学部出身で植物工場の生産管理に知見がある吉田氏に声をかけ、入社してもらった。

吉田氏自身も土屋氏から「障がい者を慈善事業ではなく、ビジネスで支援する」という考え方を聞いて共感した。実際に現場に入ってからは、指示した通りの長さと寸分違わずリーフを切り続けられる従業員の能力に驚いたとふりかえる。

従業員へ仕事の内容などを伝えることへの苦労もあったが、吉田氏が試行錯誤をしながら根気強く指導をし続けた結果、品質は上がり、生産も安定してきたという。現在は土屋氏と生産管理を担う吉田氏、子息を含む従業員2名でリーフの生産販売を行っている。

行動も結論も早い大阪人らしい土屋氏に対して、喜界島出身の吉田氏は伸びやかでゆっくりな性格。アイデアが豊富でつい“やりたがり”の土屋氏を冷静に諭すこともあれば、じっくりと話を聞いて「やろうよ!」と後押しするなど、正反対な性格がかえって経営に良いバランスを与えているという。

二人の目標は、障がい者やその親に向けて同社の植物工場事業をフランチャイズ化し、リーフを同社に安定供給するシステムを整えること。そうすることで障がい者や家族の金銭的な負担軽減に繋げたいと話す。

リーフの香りに包まれて、障がい者や高齢者も安心して働くことができる仕事づくりの話は尽きることがない。

代表取締役 土屋 晴氏(右)と常務取締役 吉田 輝倫氏(左)

(取材・文/大阪産業創造館マネジメント支援チーム プランナー 中尾 碧)

2019年02月28日
株式会社絆工房
代表取締役 土屋 晴氏
常務取締役 吉田 輝倫氏
事業内容/食用リーフ生産・販売

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