ものづくり

マッチングきっかけにアフター市場へくさび

2017.12.27

同社が開発した自動車用コーティング剤「BRILA(ブリラ)」が今海外の自動車ディーラーを中心に広がりつつある。今年、シンガポールで販売された新車の25%に装着されるのをはじめ、約20カ国で年間2万4千台に使われるまでになっている。また、OEM製品としても、オーストラリア、中国市場等で、年間数万台規模での採用が始まっている。

防汚性、耐久性、施工性といったメリットを兼ね備えられるのは、日本で入手できる先端材料に負うところも大きいが、それを生かしきる同社の配合技術があればこそ。「国ごとの気候特性に合わせ、自社エンジニアが原料の配合を最適化している」と藤原氏は言う。

こうした「BRILA」の海外戦略を一手に引き受けているのが海外に12拠点を持つ商社、イツワ商事だ。イツワ商事との出会いはマッチングナビゲーター(※)からの紹介だった。

「当初はイツワから国内の自動車ディーラーに販路を持つパンサーフェスグループに商品を売り込むつもりが、逆にBRILAにほれ込み海外展開していこうという話になった」と、マッチングナビゲーターの山田氏。

以前、パンサーフェスは自力で海外での販売を試みたことがあったものの失敗した経験を持つ。「マーケティングと販売はイツワさんに任せ、うちは開発に徹するという明確な役割分担ができたことで相乗効果が生まれた」。

以来、イツワによる海外での積極的な展開、そしてパンサーフェスのニーズを踏まえた製品開発が功を奏し、今年になってビジネスが一気に開花した。今後は欧米市場をねらう。

専務取締役 藤原 正典氏(左)とナビゲーター山田 英俊氏(右)

マッチングナビゲーターの山田氏がそもそもパンサーフェスを知ったきっかけは、自身がマイカーをディーラーに持ち込んだ時に施されたコーティングがきっかけだった。「キットを見たら大阪の会社だった」とすぐさま電話を入れた。顔合わせ後はナビゲーターのネットワークを生かし1ヵ月に1社のペースで紹介したという。

もちろん当たり外れはあるが「出会いをきっかけに一緒に開発していこうという姿勢を持つ会社とは話が前に進んでいく」と藤原氏。「藤原専務はレスポンスも早く、資料の作成も行き届いてわかりやすい。そんなところも評価されている」と山田氏。

阪急電鉄の車両にも導入されている。車両を洗浄する際、機械が使用できず高所作業で手洗いしている部分に同社のコーティング剤を塗布することで汚れがつきにくくなり、作業の効率をあげている。3年ほどテストを繰り返し、現在では9000系、9300系の約30編成を対象に施工が開始されている。

さらに4年前に紹介を受け、シャープと共同開発を始めた、太陽光パネル向けメンテナンス用ケミカルの事業化も見えてきた。当初はコーティング剤だけを考えていたが、展示会で洗浄剤の方が求められていることを知り併せて開発。いまだ市場が確立していないアフターメンテナンス事業に打って出る。

「アフター市場はエコシステムが出来上がれば安定的に商品が出て行くビジネス。まさに弊社が参入したい市場」と藤原氏。マッチングをきっかけに新たな市場で飛躍を遂げようとしている。

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(取材・文/山口裕史)

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パンサーフェス株式会社

専務取締役

藤原 正典氏

http://www.pansurface.co.jp/

事業内容/洗浄剤、コーティング剤の開発・卸