ペイントへの熱意が引きよせた未来のブーム
「ペンキが流行る時代が絶対来ると思った」。東氏は、女性によるDIYブームの到来を予見して、15年以上前に会社を立ち上げた。
脱サラ後、夫とともに大阪のオフィス街で飲食店を経営していた頃、空いた時間に趣味のペインティングを始めた。高じて外国のペイントショップの見学ツアーに参加したことが人生の転機となる。
「日本の塗料販売店では考えられない、まるでインテリアショップのようなおしゃれなお店に心を奪われた」。商社で貿易に携わっていた夫の応援もあり、1998年に会社を設立。米国製の伝統的な製法にこだわった自然塗料、バターミルクペイントにほれ込み、2000年から輸入販売を日本で初めてスタートさせた。
ペンキは3K(汚い、きつい、くさい)という点でずっと敬遠されてきたが、5年前に古くなった家具のリメイクDIYを紹介した本により一躍脚光を浴びる。リメイク用塗料としてバターミルクペイントが紹介され、予想以上にヒットしたのだ。
昨年からはオリジナル塗料「グラフィティーペイント」や「ステンシルシート(文字や模様を描くための絵柄を切り抜いた型紙)」の販売を開始。「ブランド商品を開発した目的のひとつは、女性の活躍の場を広げたかったから。
これからは、女性の感性を活かした、空間全体のカラーリングや絵付けの提案をするペイントデコレーターという仕事が必ず普及すると思っています。やりたいことは口に出し、行動することで協力者も現れる。女性にもどんどん前に出てほしい」。
苦労を重ねながら自らの道を切り拓いてきた東氏。
次なる目標は、ペイントデコレーターを育成する場をつくることだ。
▲米国製の「バターミルクペイント」。15年前から輸入販売をスタート。
▲オリジナル塗料「グラフィティーペイント」。
誰でも簡単に空間のカラーリングや絵付けができる。
▲代表取締役 東やよい氏
(取材・文/松尾 優子)