「夢見る人が集まり、語らう場所を」
「場所」を「人」がシェア(共有)することで、その場所は新しい命を吹き込まれ、全く別の事業や文化が生まれる。株式会社ドリーマーズ(大阪市福島区)代表取締役の菊地博行氏は大阪市内を中心に、6カ所のゲストハウスやコワーキングスペースなどのシェア・ビジネスを手掛けている。
2014年にはJR大阪駅から徒歩7分という好立地にある大阪最大級のゲストハウスを立ち上げた。
ゲストハウスとは、外国人旅行者、特にバックパッカー向けの簡易宿泊所のことで、安く素泊まりができる。ホテルや旅館と比べると、ゲスト同士の交流が活発なのも特長だ。ただバックパッカー以外の旅行者にとっては、なんとなく利用しにくいという問題点があった。
そこで、菊地氏は、「おもてなし、清潔さ、親切丁寧」など日本的な運営方針を掲げ、海外で生まれたゲストハウスという宿泊文化と日本のおもてなし文化を融合させた新しいスタイルを生み出した。共同フロア内の和室では、折り紙や日本舞踊といった日本の文化に触れるイベントを開催するなど、日本ならではのホスピタリティーで海外からの観光客やビジネスマンから好評を博している。
独自の世界観を生み出しているのは、併設してコ・ワーキングスペースも運営していることだ。コ・ワーキングスペースとは、フリーランスや起業家が事務所スペースをシェアして働く新しい事務所形態。旅行者のみならず、起業家の集まる場所を提供している。一見無関係の2つの事業、そこには意外な理由があった。
「一番したいのは、夢がある人を支援すること。ゲストハウスもコ・ワーキングスペースも、色々な人との交流の中で、もっと頑張ろうとか、わくわくするとか、前向きな刺激が生まれる。自ら夢をつくり、仲間をつくり、何もない場所を夢のある場所に変えることができる。そんなドリーマーが集まり、語らう場所を世界中に作りたい」と語る。
今後は、フランチャイズなどを利用して、全国及び世界に事業を展開したいと考えている。「日本と世界がつながる場所を世界中に作りたい」。菊地氏の熱い気持ちが、今日も世界中の人をつないでいる。
(大阪産業創造館 スタートアップコーディネーター 長川勝勇)
▲共有スペースの和室で宿泊客と交流する菊地氏(右)