それぞれの製造現場に合わせた切削液 R&Dの姿勢で徹底対応
新素材が次々と開発され、高度な加工技術が求められる日本の産業界。タイユは、そんなものづくりの世界を60年にわたって支え続けている金属加工油剤の専門メーカーである。主力となっているのはメンテナンスフリーの水溶性切削液。1977年、業界に先駆けて無公害・長寿命の切削液「ハイチップ」ブランドを発売し、生産が追いつかないほどのヒット商品に。現在もシリーズ化され、同社のベストセラーとなっている。
基本姿勢はR&D。ハイレベルな加工現場に対応できる開発力は、きめ細かいコンサルティングセールスに基づいている。研究室や開発室ではユーザーからの要望に応える製品を提供するため、30項目もの試験を繰り返す。「サンプル品を何度も提出します。また、開発現場と実際の工場とでは条件が微妙に違ってくることもあるので、加工精度を上げるためには全国どこへでも飛んでいきますよ」と四元氏。毎日1件は新しい案件が舞い込んでいることからも、その実力がうかがえる。多品種少量生産に対応する効率的なラインを整備し、コストダウンを図っている点も強みのひとつだ。
同社の事業領域は金属加工油だけにとどまらず、油剤の関連機器やシステムにまで及び、その分野でもユニークな新製品に取り組んでいる。水溶性と油性、両方の切削液をひとつの機器で賄える加工システムの開発だ。ユーザーの既存の機械にオプションで取り付けることができるため、低価格でのシステムアップが可能。これが成功すれば世界中の製造現場がマーケットとなる。「植物性や非化石燃料などの脱石油製品や、廃棄物ゼロへの取り組みなど新たなテーマがまだまだ控えています。人にも機械にも環境にも優しい製品を、今後も開発し続けますよ」。
▲加工現場に欠かせない切削油材を取り揃え、さらにユーザーに合わせてカスタマイズした商品を提供。無公害切削液「ハイチップ」シリーズは売上げの70%を占める主力商品。
▲「日本にしかできない付加価値の高いものづくりを支えていきたいんです。難しい製品にチャレンジする会社は必ず生き残りますよ」と四元社長。