ダジャレ、四コマ漫画全開! 自社の強みをブランディング
ワイヤロープの製造販売を行うのHPにアクセスし、「大綱の強み」というボタンをクリックすると、いきなり四コマ漫画が現れる。ただの四コマではない。憎めないシュールなイラストに加え、自社の技術の優位性とダジャレを掛け合わせ、読み手を引き込む。ほかにも「ワイヤロープ劇場」というアニメや「祝62(ロープ)周年まであと11年記念企画」という特設ページも展開し、「ワイヤは愛や」という繁野社長直筆の言葉が躍る。このユニークなHPでブランドが浸透し、一昨年はHP経由の注文が約1億円を超えたこともあったという。
四コマ漫画のアイデアを出したのは繁野社長だ。「文字がずらーっと並ぶのは好きじゃない」と、イラストや写真を多用し、会社や製品の特長が一目でわかる魅せ方にこだわる。HPを含めたブランディングのテーマは、「他社がやらないことをして差別化すること」。堅苦しい業界だからこそ、あえてダジャレを交えた漫画を連発するが、砕けすぎると「真面目にやっていない」との誤解を招く。だから、「あくまで前提は製品紹介で、最後にクスッと笑う程度」と気を配る。
HPでは実績事例集の掲載にも力を入れるほか、ムービーによる製品紹介も行う。たとえば「ゴクナン」というワイヤロープは柔らかく、グニャグニャに曲がる。「ワイヤロープは固いという常識を覆すには映像が一番」。
魅せ方を大切にする考え方は、カタログ制作で培った。カタログも言葉による説明は極力省き、イラストや写真で製品特長がわかる工夫を凝らしてきた。遊び心でカタログに仕込んだパラパラ漫画は、「商談中にネタに困り、パラパラとやったらウケた」とニヤリ。
同社がHPを立ち上げたのは2001年。当時の業態は卸中心だったが、大手を中心としたエンドユーザーへの提案営業に舵を切り、その一環でHPを立ち上げた。運よくwirerope.co.jpというドメインが取得でき、繁野氏の考えを理解するHP制作会社にも恵まれた。現在、HPはアクセスアップ対策より定期更新を重視し、「飽きさせない工夫」に務めている。
同社の創業者でもある先代は6月2日を「ロープの日」と定め、ワイヤロープの安全点検の実施など啓発活動に力を入れてきた。「私もその意志を受け継ぎ、ワイヤロープを安全・安心に使っていただけるよう、業界全体でその機運を盛り上げたいですね」。
大綱株式会社
代表取締役社長
繁野 光一氏
設立/1960年 資本金/1億3,000万円 従業員数/65名 事業内容/ワイヤロープを製造販売する。設計から施工まで対応するトータルマネジメントが強み。さらに業界随一を誇る豊富な在庫をコンピュータで一元管理し、他社を圧倒するフットワークの軽さと短納期を実現している。