【ロングインタビュー】大阪の縫製業を末代まで守り抜く
かつてアパレルメーカーが集積していた大阪・谷町で今なお縫製からこだわって紳士用フォーマルスーツの製造・販売を行っているのがNFLの川辺友之社長。父が営む紳士用フォーマルスーツ製造卸の事業をどん底から立て直すことができたのは、家族の強い絆があればこそだったという。
>>>おじいさまの事業がルーツだそうですね。
大阪・谷町に紳士用フォーマルスーツの縫製工場とお直しの店を構えています。もとは1952年、この地で祖父が黒い生地専門の羅紗屋を始め、父がその生地を使って紳士向けフォーマルスーツの製造卸に転じました。大手紳士服チェーンに卸していたのですが、どんどん拡大路線を歩み、業界2位の売上げ規模を誇るまでになっていました。ところが、だんだんと勢いを失っていきます。
1998年に父の会社に入り、最初に経理を担当して驚きました。借金、在庫の額が数十億円に膨らんでいて、なんじゃこりゃ、と。卸売は常に多くの在庫を持っていなければならず、しかも買い取りではないのでたくさん返品があります。いつもお客様に振り回されているような状態でした。2001年になると得意先の大手小売店が倒産していよいよ資金繰りが厳しくなりました。このままではあかん、と始めたのがネット販売でした。
>>>なぜ、ネット販売を
学生時代からインターネットの世界に触れていて、もともと興味がありました。実店舗でもよかったのですが、紳士のフォーマルスーツは皆さん一度買われたら10年ほどは買い換えをしないので回転率が悪いのです。コンスタントに売れないから紳士服売り場でもフォーマルスーツは隅っこのほうに追いやられているでしょう。ただし、景気に左右されず、シーズンも関係なしに売れます。一地域で店をやっていても難しいのですが、ネット通販なら全国の方を相手にできるので非常にいい商売になるのです。1999年に楽天に出店して以降、じわじわと伸び、月商1200万円までになっていました。
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