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用途は自動車からスマホまで「接着剤」でくっつける

2014.05.09

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甲皮と底材をくっつける方法は、縫製するか、もしくはテープを貼って熱を加える加硫接着しかなかった。そこへ、甲皮と底材に塗るだけでよいゴム由来の接着剤を開発したのが1955年のこと。だから社名もノーテープ工業。「当時としては画期的な技術で、革靴からスポーツシューズ、スリッパに至るまで履物業界を席巻した」と田中氏。だが市場が飽和してくると新たな分野に活路を見出さざるを得なくなる。

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その一つが床用の接着剤。だが、靴業界以外での知名度は全くなかったため、営業担当者が技術担当者を連れて床工事会社へ日参し、一から教えを請うた。「靴の接着剤と違って何十倍もの粘度が必要。何も知識のないところから少しずつ商品の幅を広げていった」。現在では人工芝、床を二重にするために使う支持脚、フローリング、タイルなどその用途は広がっている。

接着剤と並行して1970年代頃から徐々に増やしていったのが粘着剤だ。接着剤を納入する建材会社から粘着剤もできないかと相談を受けたのがきっかけだった。商品開発の端緒は「あの会社が、生産性向上、コストダウンにつながる接着剤、粘着剤をほしがっているぞ、という業界内からの情報がほとんど」という。粘着剤ははがせることが求められるため、接着剤とは似て非なる製品だ。

加えて、取引先が使っている製品に取って替わるものを提案しないといけないため他社の特許とぶつかることも多いが、営業要員の2倍近い35人の技術陣をそろえ、研究開発に注力する。その後、自動車を輸出する際に車の外側、内側に張る保護シートも手がけるようになった。

昨年は、スマホのアクリルガラスと基材の間に挟むOCAテープ(粘着剤)を5年がかりで商品化にこぎつけた。競合大手メーカーがひしめく中、中国のスマホ組立メーカーを頻繁に訪問して要求をヒアリング。「クッション性を持たせるために厚みを持たせながら透明性も確保した自信作」だ。これからもニーズを丁寧に拾い、時代に合わせた接着剤、粘着剤を開発していく。

notepu_sumaho▲スマホのアクリルガラスと基材の間にOCAテープ(粘着剤)が使われている。

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▲社員の半数以上を技術系社員が占め、新商品の開発を進めている。

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竹内 心作大阪産業創造館「中小企業応援団」事務局

大阪市の中小企業支援拠点「大阪産業創造館」と大阪府下の約32の金融機関が協働で、中小企業の事業成長をサポートする「中小企業応援団」を立ち上げ、商談会やビジネスマッチングの仕組みを多数展開。前職は金融マン。金融機関の事情にも中小企業の事情にも精通する必殺仕掛け人。

ノーテープ工業株式会社

代表取締役 

田中 長兵衛氏

接着剤、粘着剤メーカー。とくに履物用の接着剤では国内シェア60%を占める。靴のほか建材や家具、紙、食品などは幅広い分野で使われている。近年は他メーカーの接着剤、粘着剤も販売するなど商社機能も持っている。