環境の変化をとらえ進化するタクシーメーター
タクシーメーターを製造する二葉計器は、4月の消費税アップで増税分の値上げに踏み切ったタクシー会社への対応に追われた。「タクシー会社ごとのニーズに応じて開発したソフトウェアの数は1000を超えた」と土井氏。その数の多さはそのまま業界における同社の存在感の大きさを示している。
商品開発で大きな転機となったのは、1989年の消費税導入(3%)と2002年の道路運送法改正に伴うタクシーの規制緩和だ。かつてメーターはギアに連動して料金が上がっていく機械式だったが、消費税導入による計算方法の複雑化に伴い電子式に変わった。さらに、規制緩和によりタクシー会社が競争する時代に突入したため、取引事業者ごとにソフトウェアを変える必要性が生じてきた。
「同一運賃だった時代はハードウエアを会社ごとに少し仕様を変える程度で対応できたが、ソフトの開発力が問われるようになっていった。そこで、内製化していたハードウェアの製造は協力業者に任せ、頭脳部分である設計とソフトの開発に徐々に特化していくようになった」と話す。
その後、ナビゲーションやETC、ドライブレコーダーをはじめタクシーに搭載される機器が増えたことに伴い、これらと連動したシステムの開発を進めてきた。一方で、高齢化が進むタクシー運転手でも使いやすいように機能を簡素化した商品や、運行状況を記録するデジタルタコグラフとメーターを一体化させるなど各種機器を統合した商品も業界初で送り出してきた。
タクシー輸送人員は1980年代後半から減少し厳しい状況が続く。同社が今新たな活路を見出そうと開拓しているのがバス・トラック業界だ。昨年夏、休憩時間や急発進、アイドリングなどの運行状況が把握できるデジタルタコグラフを他社の半分ほどの値段で発売し、好調な滑り出しを見せている。
「本社センターでドライバーの運行状況を見える化できるので業務管理や安全指導に役立つ」と土井氏。「タクシーメーターというよりももはや車内の総合端末機」として進化を続け、次なる商機を狙う。
▲バス・トラック向けのデジタルタコグラフ。運行記録をもとに給料計算に活用したいという得意先のニーズに応え、実走行距離と表示距離の誤差をそれまでの2%から0.1%に改良した。
▲フルカラー液晶タッチパネル方式の最新型タクシーメーター。ソフトしだいで表示方法はいかようにも変えられる。
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竹内 心作大阪産業創造館「中小企業応援団」事務局
大阪市の中小企業支援拠点「大阪産業創造館」と大阪府下の約32の金融機関が協働で、中小企業の事業成長をサポートする「中小企業応援団」を立ち上げ、商談会やビジネスマッチングの仕組みを多数展開。前職は金融マン。金融機関の事情にも中小企業の事情にも精通する必殺仕掛け人。
二葉計器株式会社
代表取締役社長
土井 邦夫氏
1925年の創業時からタクシーメーターを製造してきた業界の草分け的存在。メーターのほか領収書プリンター、デジタルタコグラフ、ドライブレコーダー、アルコールチェッカーなども手がける。