「走りながら考える」一気呵成に店舗展開
名刺には「走りながら考える男」と書かれている。創業来、ここぞという時に一気呵成に突き進む福嶋氏の行動力が吉の結果を生んできた。
40代に入った頃、15店にまで大きくした衣料品雑貨販売の商売には満足できなくなっていた。「社会に役立っていることがもっと実感できるような仕事がしたい」。悶々としていたとき、あるコンサルタントの紹介で「リサイクルショップ開業セミナー」に参加し、「これだ」と決めた。
大手紳士服チェーンが退店した大規模スペースを利用して2003年、茨木市にオープンした「良品買館」の1号店。それまでのリサイクルショップのイメージを一新したきれいな陳列が消費者の心をつかんだ。大和高田市に出した2号店も絶好調。余勢を駆って1億円を超える投資で初の新築店を奈良にオープンした矢先、2号店が放火で全焼した。
「稼ぎ頭の2店のうち1店が飛んだ。多額の借金も残っており、継続できないと判断した」。会社をたたもうとしていた頃、ある社員の「こんなことで負けんときましょう。何があっても僕たちががんばります」という言葉に勇気づけられた。火事から3ヵ月後に新規出店を再開するや9ヵ月で6店を相次いで出店した。
「良品買館」の一角に設けていたブランド品、ジュエリーの買取専門コーナーが店の収益の3分の1ほどを稼いでいることに気づき、独立業態として出店することを決めた。2006年10月に「キングラム」として十三に1号店を出店するや、想定していた売上げを10倍上回った。ここでも一気に攻勢に出る。
翌月以降、月1店のペースで4店を出店すると、すべての取引銀行が「あまりにも出店ペースが速すぎる」と融資をこわがりだす。その後、各店で実績を残し、半年後から再び融資がスタートし、出店を重ねていった。
社員が10数人だった頃、一人の社員が「俺らが働いているんは不用品屋や」と言ったことが心にずしりと引っかかっていた。3年後に計画する上場を決意したのも「社員が誇りを持てる会社にしたい」との思いからだ。現在110にまで店舗は広がった。「近い将来国内で300店」を掲げ、タイやベトナムなどの東南アジア市場への進出も視野に入れている。
▲広々とした「ベストバイ」の店舗。
▲ブランド品、ジュエリー、時計に特化した「キングラム」
▲2003年、茨木市にオープンした「良品買館」の1号店。
▲全社員と続ける「交換日記」には必ずコメントを返す。
▼【ロングインタビュー】ピンチをバネに成長続けるリサイクルショップ
https://bplatz.sansokan.jp/archives/1958