自分が変われば起業家人生も好転
有限会社TTDESIGN(ティーティーデザイン、大阪市北区)はパンフレット、ポスターなど紙媒体を中心に手がけるデザイン事務所だ。
代表取締役の高山理(おさむ)氏は、2002年に同市の南森町で創業した。しかし当初は順風とはいかず、仕事の量が減り続けるなど3年ほどで事業に行き詰まり、打開するために大阪市の創業支援施設に入所した。
初めて経験した多くの起業家が集まる環境。「すごい人が、こんなにいっぱいいる」と衝撃を受け、それまで自発的にしなかったさまざまな人との交流を積極的に行った。「とにかく、毎日新しい人と会おう」と活動するうちに、おのずと仕事も順調に増えていき、南扇町に事務所移転後わずか1年で事業の立て直しに成功。06年4月に有限会社として法人を設立した。
「入所のときは正直そこまで考えていませんでした。人と会うことが、そんなに大切なことだと教えてくれる人もいなかった」と語る高山氏。自分が変化することで人生がどんどん好転していくのを感じていたという。
その後、思わぬ大病を患ったものの見事に克服し、さらに売り上げを伸ばしながら支援施設を卒業した。
法人を設立したことで、経営者として社員が働く環境づくりに対する意識を持つようになったことは大きな変化だったようだ。12年6月には、同業のデザイン会社と合併の話がまとまり、事業規模をさらに拡大。社員数はほぼ倍になり、体制の強化で以前から計画していた東京進出を早めることができた。合併により固定費が半分になったうえ、仕事が同じジャンルなので社内に大きな混乱もなかった。東京での事業展開も予想を上回って軌道に乗っているという。
現在、力を入れているのは、社員4人とともに取り組んでいる新規事業。デザイナーやイラストレーターならではの視点で、大切な人の思い出をオリジナルデザインにして残すインターネットサービスを準備中だ。これまでは受託事業が中心だったが、自社ブランドのサービスを開発することで社内のコミュニケーションもずいぶん活発になったという。今後は「仕掛けていくデザイナー集団」としての事業展開が期待される。
(大阪産業創造館 プランナー 長川勝勇)
▲TTDESIGNは東京と大阪のスタッフをテレビ会議で結んでいる
有限会社TTDesign