MyREVOによる、AIが拓く大学広報の未来!データで見る効果的な学生募集戦略
大学卒業後は広告代理店で大学向けに学生募集の広報支援業務に携わっていた隈本氏。大規模大学から中小規模大学を担当する部署へ異動した際、「一人ひとりの個性を尊重した教育を行っている大学が多い」ことに感銘を受けた。ちょうど同タイミングに経営大学院に通っており、機械学習システムを活用したビッグデータの解析手法を学び、大学が持つ膨大な未活用データを活かすことで、経験や勘に頼らず、データに基づく大学経営・学生募集の支援を行う事業を着想し、2022年に株式会社MyREVOを創業した。
大学側から出願候補者への最初のアプローチは学校案内を届けることだ。ただ現状は、広告業者などを介して手当たり次第に送っているのが実態。まずはそこにAIでメスを入れた。大学側には過去にさかのぼった出願候補者の属性、行動、入学の実績等のデータがある。それをもとに出願する可能性の低い対象者を送付リストから外した。「ある大学では送付数を半減させ、残り半数に対しては送付希望を問うはがきを送りました。結果、希望者は0.04%に留まったことからその有効性が確認できました」。その学校では、年間の発送コストは40%削減できた。
次のステップとして取り組んでいるのが、出願候補者一人ひとりの特性をもとに個別にアプローチし、出願者を増やす試みだ。例えば、ある大学では自宅から大学までの通学に要する時間が「70分」前後で、出願に対してポジティブとネガティブの地理的な境界線が確認された。そこで、70分以内の学生には便の良さを謳い、70分以上の学生には遠方通学をしている先輩の時間術をアピールする、といった具合にアプローチ。このような出願影響度の高い傾向別でのアプローチを複数回繰り返すことで、ある大学では出願者数が7.2%増えた結果もあったという。
少子化が進む中でも大学進学率上昇と新設大学の増加の下、大学への入学者数は増え続けてきたが、今後は減少に転じることが予測されている。ここ数年閉学のニュースも多く耳にするようになった。「今後は手当たり次第アプローチする時代から志願者とマッチングしていく時代へと変化していく。更なるデータサイエンスを進め、予測判定精度を高めると共に、各学校への入学志望度を高める手伝いをしていきたい」と隈本氏。
一方で、大学では中退者が大きな経営課題の一つになっている。今後は、データ分析の領域を在学者にも広げ、どのような学びをした学生がどのようなキャリアに結びついているか、国家試験の合格につながっているかなどを分析し、学びの最適化につなげ学生満足度を高めるための支援をしていこうと考えている。「人はさまざまな出会いを通して非連続に成長する。しかもそれは教育の場であることが多い。私自身そのような経験をしてきた。だからこそ、多様な基準で大学選びをしてほしい」。その思いが事業の原動力になっている。
(取材・文/山口裕史)
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