中小企業の在宅勤務をセキュリティ面からサポート
コロナ禍で在宅勤務を認める会社が増えているが、これをさらに普及させていくうえで欠かせないのが、自宅と会社のネットワークをつなぐことで生じるデータ漏えいなどのリスクを防ぐセキュリティ対策だ。
「セキュリティ対策といえばこれまでは外部の脅威から守ることが主眼に置かれていましたが、在宅勤務への移行によって会社のデータを内部の人間が持ち出しやすくなり、これを想定した対策がこれからはより重要になってきます」と村林氏。
ただ中小事業者の場合、社内に専門のIT担当者がいるわけでもなく、高価なシステムを導入する余力もない。そのような中小企業の置かれた現状をふまえアクトワークスが11月から本格発売するのが「リモートアクセスVPN」だ。
最大の特徴は、手のひら大のサイズに収まる機器に社内ネットワーク回線をつなぐだけで外部のパソコンやスマホと安全につなぐことができること。
「通常はネットワークを入れ替える必要があり、さらにさまざまなネットワークの入口での門番役であるファイアウォールを通すための設定などもしなければなりません。このシステムを使えば回線をつなぐだけでだれでも簡単に扱えることが強み」だという。
VPNとはインターネット上に暗号化された“トンネル”を作る技術で、新たに回線をつくることなく社内専用線を設けることができる。
このVPNの技術については筑波大学の研究プロジェクトによって開発された、無償で活用できる「ソフトイーサ」を活用。「大半のファイアウォールを通り抜ける特性を持つため、どのような環境からでもアクセスできる点が使いやすいポイント」と増田氏。
「社員が30人くらいで全員に目が届く範囲であれば、リモートアクセスVPNの導入が最適ですが、社員がさらに増える場合にはもう一段レベルを上げる必要がある」との考えから同時に発売するのが「リモート Wake on LAN」。
これは社外からサーバにアクセスするのを禁じ、社内にあるパソコンと同じ画面を社外のパソコン上でそのまま操作できる設定をしたときを想定し、社内パソコンの電源を遠隔でオンオフできる機能を持たせている。
在宅勤務の流れが加速する状況は同社のビジネスにとっても追い風だ。
今後は、一人ひとりがパソコンでどのような作業をしているかが把握できる“パソコン版ドライブレコーダー”の開発も考えているという。
「シンプルに低価格で誰でも使いやすく」をモットーに、これからも中小企業の在宅勤務を後押しする商品開発を進めていく。
(取材・文/山口裕史)
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