MADE IN JAPAN神話を引き継ぐ大阪のばねメーカー

大阪バネ工業株式会社はクルマの乗り心地を左右する足回りにおいて重要部品の一つであるコイルスプリングを中心に、“ばね”一筋に85年以上の歴史を刻んできたメーカーである。

既成品を持たず、すべての依頼を完全受注生産することで事業を成立させている。その技術力は巨大な産業機械向けや先の震災の折にその名を知られるようになった安全弁用など、大企業では手が出せない小ロットかつ高品質、そして高い特殊性を満たす分野の工業製品にも活用されており、国内でも稀有な高度技術を持つ企業として存在感を放つ。

しかし、その知名度は日本より海外の方が高く、“MADE IN JAPAN”の信頼性を体現するOBK(同社の海外ブランド名)として広く知られている。

同社の営業本部長を兼任する細川常務はこう説明する。
「優秀な性能を誇る日本の中古車が世界中で走っています。ただ、道路事情が良くないために衝撃をモロに受ける足回り部品は壊れてしまう。でも中古車は純正部品がすでになかったり、あったとしても高価すぎて手が出ない…そのチャンスを私たちは見逃さず、中古車交換用コイルスプリングの製造と輸出を始めました」。

常務取締役 営業本部長 細川賀夫氏

それからの同社は、展示会への参加や現地の商社及び販売店への現地セミナー開催などを通じ、積極的に海外進出を展開。30年をかけ、さまざまな国の多様なニーズに応え続け、現在では同社の売上げの多くを占める重要事業にまで育て上げた。

海外の展示会、セミナーの様子

しかし油断はできないという。緻密な技術力・製造力が必要となるコイルスプリング分野にも中国製品が登場し、また自国に強大な自動車メーカーを持つ欧州企業の攻勢も激しい。

「中国製品の品質も向上しているし、欧州製の中古車には欧州のメーカーに一日の長があるのも確かです。でも私たちも負けてはいられない。高品質を維持し続ける技術力・製造力・管理力を磨き、外国車や自動車以外のマーケット開拓や製品供給など、物怖じせずに歩みを進めたい」

「当社では製造業の面白さを知ってもらおうと地域の小中学生への工場見学や職業体験に協力していますが、子どもたちは目を輝かせて“ものづくり”の楽しさと日本の製造業の凄さと誇りを感じてくれているのがわかります。そんな子どもたちのためにも、日本の製造業の一端を担う企業としても…そして製造業の街“東大阪”の一員として“MADE IN JAPAN”の底力を見せ続けていきたいと思います」。

(取材・文/松畑聡 写真/Makibi)

2019年08月09日
大阪バネ工業株式会社
常務取締役 営業本部長  
細川 賀夫氏
事業内容/自動車用コイルバネ製造、他

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