産経関西/産創館広場

交流取り持つ「肝っ玉母ちゃん」

2013.06.17

オオサカンスペース(大阪市中央区)は利用者同士の交流が盛んな「コワーキングスペース」だ。
コワーキングスペースとは図書館のようにオープンな環境で、互いに自分の仕事を持ち寄り集う場所を指す。ライター、デザイナー、プログラマーなど、パソコンさえあれば一人でもできる仕事が増えたことから、近年増加傾向にある。利用者が一人でいることの自由さを失うことなく、それぞれの強みを生かしたコラボレーションが生まれる場所としても注目されている。

オオサカンスペースの運営母体は中小企業のIT導入支援を展開するChatWorkグループ(大阪府吹田市)。当時、社長秘書をしていた大崎弘子氏が「既存の仕事の進め方に慣れてしまっている会社だとITを活用するのはなかなか難しい。業務スタイルが確立していない起業家にITを活用する働き方が提案できるような場所をつくりたい」と、社長に提案したことから新規事業として始まった。

2012年1月のオープン以来、熱い思いとスキル・ノウハウを併せ持った120人以上の人材が集まり、多数のユニークなビジネスが生まれている。例えば、このオフィスで出会った3人によるプロジェクト「コナモン」は「未来電話」という音声リマインドサービスを今年3月にリリースした。同サービスは、伝えたい文言を録音し、あて先の電話番号と指定時間を入力しておくと、預けたメッセージが時間通りに相手に送られる仕組みだ。電話を使って何かできないかと話題になってから1日で構想を練り、2日で形にしたというから、それぞれのスキルの高さがうかがえる。

ここに優秀な人材が集まり、コラボレーションが多数生まれているのは、交流イベントを多数開催し、大崎氏自身が仲人となって利用者同士を結び付ける「肝っ玉母ちゃん」的な人柄によるところが大きい。さらに、広報面でのサポートやメンター制度の導入など、同氏の面倒見の良さから事業化に結び付きやすい仕組みが整えられていることも人気の理由だ。面白い人が集まり、面白いことが始まるオオサカンスペースから今後も目が離せない。

(大阪産業創造館 プランナー 坂田聡司朗)

o-saka
▲利用者同士のコミュニケーションを促す大崎氏(中央)

オオサカンスペース(運営EC studio スペース)

http://www.osakan-space.com/