商品開発/新事業

大手企業とのコラボ、クラウドファンディングへの挑戦!

2017.05.10

▲約7cm角、約100gの小さなボディに高度なIoT技術が搭載されている。

ポケットサイズのスタイリッシュな本体のセンサー部に息を吹きかけると、液晶画面に体内のアルコール濃度が表示される。蓄積された飲酒データをもとに「今日はペースが速いよ」「そろそろ水を飲んだ方が良いよ」といったアドバイスが続いて表示され、お酒とのスマートな付き合い方をサポートしてくれる。この学習型アルコールガジェットTISPY(ティスピー)を製作したのが株式会社スタッフだ。

取材にあたり商品開発の裏話とともに、記者としてぜひ突っ込んで聞いてみたいテーマがあった。それは、TISPYがクラウドファンディングを活用したことについてだ。

クラウドファンディングとは、「こんな事業を始めたい」「こんな作品をつくりたい」といった目的のもとにインターネットを通して資金支援を募る方法で、欧米では広く行われており、日本でもここ数年来注目を集めている。

TISPYは本格的な販売開始を前にしてマスコミで注目を集めたが、その秘密がクラウドファンディングで、実行初日に目標額である150万円を達成。最終的には1,540万円以上の資金を調達したことが話題を呼んだ。

▲Makuakeのサイトにはプロジェクト終了後も表示が続き、PR効果を発揮している。

TISPYは株式会社東芝が企画、株式会社スタッフが設計・製造・販売するコラボ商品で、クラウドファンディングを運営するMakuake(マクアケ)がPR活動に貢献した。東芝は、TISPYが世の中のニーズに合致しているかどうかを判断するためにクラウドファンディングの利用を計画。さらに製造・販売を依頼できるパートナーを探していたところ、株式会社スタッフに白羽の矢が立った。

商品が完成する前からMakuakeがさまざまなメディアに情報を流し、ネット上で話題になった。「この話があった時、私はクラウドファンディングという言葉すら知りませんでした」と同社代表の小山氏は言う。

開発のスケジュールがタイトだったことや、東芝との調整が難航したことなど課題はたくさんあったが、クラウドファンディングを利用したことで自社の技術力を広くアピールすることができ、新たな仕事にもつながっているという。

今後は、ドライバーを抱える企業を対象に、社員のアルコール検知情報を管理できる機能をつけるほか、海外向けの展開も検討している。具体的な販売戦略は計画中だが、現在はアスキーなどのネットストアで購入できるようになっている。

▲「クラウドファンディングを利用したことで、販売台数が決まり動きやすかったです。短納期制作が得意な弊社としては台数決定後の生産に間に合わすことができました。ただ、開発のリミットが決まっていて大変でしたね」と当時を振り返るチームリーダーの廣江氏(写真左)。
「当初は、30〜40代の男性をターゲットに開発しましたが、お酒の好きなシニアの方や、ギフト用に2つ購入する女性もいらっしゃいました」と広報担当の本家氏(写真右)。

(取材・文/山蔭ヒラク)

株式会社スタッフ

代表取締役

小山 栄一氏(写真中央)

http://www.rd-stuff.com

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