大手企業とのコラボ、クラウドファンディングへの挑戦!
ポケットサイズのスタイリッシュな本体のセンサー部に息を吹きかけると、液晶画面に体内のアルコール濃度が表示される。蓄積された飲酒データをもとに「今日はペースが速いよ」「そろそろ水を飲んだ方が良いよ」といったアドバイスが続いて表示され、お酒とのスマートな付き合い方をサポートしてくれる。この学習型アルコールガジェットTISPY(ティスピー)を製作したのが株式会社スタッフだ。
取材にあたり商品開発の裏話とともに、記者としてぜひ突っ込んで聞いてみたいテーマがあった。それは、TISPYがクラウドファンディングを活用したことについてだ。
クラウドファンディングとは、「こんな事業を始めたい」「こんな作品をつくりたい」といった目的のもとにインターネットを通して資金支援を募る方法で、欧米では広く行われており、日本でもここ数年来注目を集めている。
TISPYは本格的な販売開始を前にしてマスコミで注目を集めたが、その秘密がクラウドファンディングで、実行初日に目標額である150万円を達成。最終的には1,540万円以上の資金を調達したことが話題を呼んだ。
TISPYは株式会社東芝が企画、株式会社スタッフが設計・製造・販売するコラボ商品で、クラウドファンディングを運営するMakuake(マクアケ)がPR活動に貢献した。東芝は、TISPYが世の中のニーズに合致しているかどうかを判断するためにクラウドファンディングの利用を計画。さらに製造・販売を依頼できるパートナーを探していたところ、株式会社スタッフに白羽の矢が立った。
商品が完成する前からMakuakeがさまざまなメディアに情報を流し、ネット上で話題になった。「この話があった時、私はクラウドファンディングという言葉すら知りませんでした」と同社代表の小山氏は言う。
開発のスケジュールがタイトだったことや、東芝との調整が難航したことなど課題はたくさんあったが、クラウドファンディングを利用したことで自社の技術力を広くアピールすることができ、新たな仕事にもつながっているという。
今後は、ドライバーを抱える企業を対象に、社員のアルコール検知情報を管理できる機能をつけるほか、海外向けの展開も検討している。具体的な販売戦略は計画中だが、現在はアスキーなどのネットストアで購入できるようになっている。
(取材・文/山蔭ヒラク)