【事業承継相談窓口の舞台裏】連載vol.9 親族外承継を考えるなら早め早めの行動を
都島区で内装工事業を営む株式会社オフィスインテリアの木嶋社長が相談に来られたのは昨年春のこと。同社は1980年に木嶋社長が創業し、一貫して事務所・店舗の内装事業を展開されています。
現在59歳と、経営者としてまだまだ活躍中ですが、既に嫁いだお嬢さん2人も、またそれぞれの配偶者も現時点では跡を継ぐ意思はないため、今後の承継対策の相談に来られました。
とはいえ、後継者候補が全くいないわけではなく、NO.2として信頼を置いている部長を筆頭候補としてお考えでした。
そうなると、親族外への事業承継となるため、家族承継とは性格の異なる課題が発生します。事業承継診断サービスで、経営状況を見ながら承継の方針を決めるために、現状の課題を抽出したところ、後継者教育や承継後の幹部組織の構築、社内規定の整備などが浮上しました。
さらに、親族外に会社を承継する時には、その次の承継のことも考えておかなければいけません。その時に、社長を「親族に戻すのか」「他家(今回であれば部長)の所有にするのか」「完全非同族企業とするのか」という長期的な方針を決めることが重要です。
相続上の対策ももちろんですが、後継者が覚悟を決める上でも、また引き継ぐ側の現社長家族や後継者家族からの承認を得る上でも、現社長が決めておかなければいけない最重要項目です。
担当コンサルタントからそれぞれのメリット、デメリットを解説しましたが、簡単に答えの出る問題ではないので、しっかりと時間をかけて決めることが必要です。
現在は、今後の方針を検討されていますが、余裕を持った対策ができるのも、心身ともに充実しているタイミングで承継準備を始められたから。木嶋社長の会社継続の意識の高さに敬服した相談でした。
▲大阪産業創造館 事業承継なんでも相談所 荒井 祐己子
経営者対象のセミナー講座や若手経営者のためのビジネススクール「なにわあきんど塾」を担当。
長年耳を傾けてきた経営者の声をもとに同プロジェクトを立ち上げた。
経営者と後継者をサポートする、
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